問 題
製紙工場における水使用や排出負荷等の合理化に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 蒸解工程で生じた黒液の濃縮工程から発生する水蒸気の凝縮水は、洗浄工程で利用される。
- 濃縮された黒液は回収ボイラーで燃焼され、大きなエネルギー源となるだけでなく、炉底から排出された溶融無機物は、漂白薬品として再生利用される。
- 蒸解を均一にし、パルプの洗浄や酸素脱リグニンをより効果的にすることで、漂白工程へのリグニンなどの不純物の持ち込みを減らせば、漂白薬品の使用量や排水の汚濁負荷を減らすことができる。
- パルプを低濃度のスラリーにしてワイヤーパートで脱水する抄紙工程では、発生したろ水(白水)が循環利用される他、余分な白水は白水回収装置に送られ、浮上分離等により抄紙原料が分離回収される。
- 白水回収装置で原料回収後の水は、抄紙工程の各種希釈水として利用できる。
正解 (2)
解 説
結論から先に示すと、(2)の前半部分は正しいですが、後半部分が誤っています。
木材から紙となる繊維を取り除くと、リグニンという物質が残ります。このリグニンやそれが変質したもの、製紙工程で使った薬剤、その他樹脂などが混じりあったものを濃縮したものが黒液です。つまり、木材由来の物質がほとんどであり、火をつければ燃えるので燃料として使えます。
黒液に含まれる有機物はこのように回収ボイラーによって燃やされますが、無機物は燃えないので炉底に残ります。これら溶融無機物にはナトリウムや硫黄が多く含まれるため、これらにカセイ化工程と呼ばれる処理を施すことで、蒸解工程の薬品として再生利用することができます。
よって、(2)の「漂白薬品」が誤りで、正しくは「蒸解薬品」となります。
ちなみに、蒸解工程で用いられる薬品のことを白液といい、その成分には、上記の通り水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムが含まれます。
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