問 題
石炭を完全燃焼させている燃焼炉で、燃料を石炭からバイオマスに切り替えた。熱負荷と空気比がともに一定となるように調整したとき、燃料切り替え後に空気の供給量はおよそ何%変化するか。
なお、熱負荷は燃料の供給量(kg/h)と低発熱量(MJ/kg)を掛け合わせたものとし、燃料性状は以下のとおりとする。
供給時の水分を含む燃料性状(質量%)
- 石炭:水分4%、炭素72%、水素4%、酸素10%、低発熱量27.3MJ/kg
- バイオマス:水分5%、炭素53%、水素5%、酸素37%、低発熱量17.2MJ/kg
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- 5
- 7
解 説
まず、石炭とバイオマスの成分を見ると、それぞれ燃焼するものが炭素と水素の2つです。それぞれを燃焼させたときの化学反応式は次のようになります。
(1)式を見るとわかるように、炭素原子C(M:12)1molを燃焼させるために必要な酸素分子O2(M:32)は1molです。また、(2)式より、水素原子H(M:1)1molを燃焼させるために必要な酸素分子O2(M:32)は1/4molです。
ここで、問題文には石炭とバイオマスとで熱負荷は一定であり、熱負荷は燃料の供給量[kg/h]と低発熱量[MJ/kg]を掛け合わせたものと書かれています。石炭とバイオマスそれぞれの低位発熱量はすでにわかっているので、このことから、2つの燃料の供給量の比は低位発熱量の逆数となることがわかります。
(3)式より、以下では石炭が17.2[kg/h]、バイオマスが27.3[kg/h]あるものとして考えます。本当の供給量はわかりませんが、比の問題なのでこの設定で問題ありません。
石炭が17.2[kg/h]あるとき、問題文で与えられた燃料性状と上記の(1)式より、酸素の供給量は次のように計算することができます。
同様に、バイオマスが27.3[kg/h]であるとき、問題文で与えられた燃料性状と上記の(2)式より、酸素の供給量は次のように計算することができます。
(4)式と(5)式の結果から、燃料を石炭からバイオマスに切り替えると、酸素の供給量が36.81[kg/h]から39.40[kg/h]へと増えることがわかりました。問われているのは空気の供給量の変化量ですが、空気中の酸素濃度は一定であるため、酸素の供給量の変化量を求めればよいことになります。
よって、燃料を切り替えたときの変化率は次のように計算することができます。
(6)式から、変化量は切替前後で7%増えているため、正解は選択肢(5)となります。
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