問 題
大気汚染防止法の目的に関する記述中、下線を付した箇所のうち、誤っているものはどれか。
この法律は、工場及び事業場における(1)事業活動並びに建築物等の解体等に伴う(2)ばい煙、揮発性有機化合物及び粉じんの排出等を規制し、水銀に関する水俣条約の的確かつ円滑な実施を確保するため工場及び事業場における事業活動に伴う水銀等の排出を規制し、有害大気汚染物質対策の実施を推進し、並びに自動車排出ガスに係る許容限度を定めること等により、大気の汚染に関し、(3)国民の健康を保護するとともに生活環境を保全し、並びに大気の汚染に関して人の健康に係る被害が生じた場合における(4)事業者の損害賠償の責任について定めることにより、(5)公害の防止に資することを目的とする。
解 説
「大気汚染防止法」第1条(目的)の条文は以下の通りです。
この法律は、工場及び事業場における事業活動並びに建築物等の解体等に伴うばい煙、揮発性有機化合物及び粉じんの排出等を規制し、水銀に関する水俣条約(以下「条約」という。)の的確かつ円滑な実施を確保するため工場及び事業場における事業活動に伴う水銀等の排出を規制し、有害大気汚染物質対策の実施を推進し、並びに自動車排出ガスに係る許容限度を定めること等により、大気の汚染に関し、国民の健康を保護するとともに生活環境を保全し、並びに大気の汚染に関して人の健康に係る被害が生じた場合における事業者の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図ることを目的とする。
問題文と上記の条文を見比べると、(5)の「公害の防止に資すること」が誤りで、正しくは「被害者の保護を図ること」であることがわかります。
ほとんどの法律は第1条にその法律の目的が書かれています。これらは条文の中でも重要なことが書かれていて、かつ、試験でも頻出なので、環境基本法や大気汚染防止法などの主要な法律の第1条についてはその条文を暗記するくらいが望ましいです。
とはいえ、今回は条文を丸暗記していない場合でも正解を選ぶことができると思います。
(5)の少し手前から読むと「人の健康に係る被害が生じた場合における~について定めることにより、(5)公害の防止に資する」とあり、文脈的にはすでに人の健康被害が生じてしまった場合の話をしています。
それなら、(5)でいまさら「公害の防止に資する」のではなく、(4)にあるような損害賠償など、何か被害者の救済措置となるような言葉が入らないとおかしいです。よって、(5)が誤りであると推測することができます。
以上から、正解は(5)となります。
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