R3年 大気概論 問3 問題と解説

 問 題     

総量規制基準に関する記述中、(ア)~(エ)の中に挿入すべき語句(a~h)の組合せとして、正しいものはどれか。

硫黄酸化物に係る総量規制基準は、次の各号のいずれかに掲げる硫黄酸化物の量として定めるものとする。

一 特定工場等に設置されているすべての硫黄酸化物に係る( ア )において使用される( イ )の増加に応じて、排出が許容される硫黄酸化物の量が増加し、かつ、使用される( イ )の増加一単位当たりの排出が許容される硫黄酸化物の量の( ウ )するように算定される硫黄酸化物の量。

二 特定工場等に設置されているすべての硫黄酸化物に係る( ア )から排出される硫黄酸化物について所定の方法により求められる重合した( エ )が指定地域におけるすべての特定工場等について一定の値となるように算定される硫黄酸化物の量。(以下略)

  1. ばい煙発生施設
  2. 粉じん発生施設
  3. 原料又は燃料の量
  4. 原料の量
  5. 燃費が増加
  6. 増加分がてい減
  7. 地表濃度
  8. 最大地上濃度
  • ア  イ   ウ   エ
  1. a  c  e  g
  2. a  c  f   h
  3. b  d  e  g
  4. a  d  f   g
  5. b  c  e  h

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

出題傾向から見るとややマニアックな問題に思えますが、問題文と選択肢を丁寧に見比べていけば、きちんと正解できる問題構成になっています。

この問題の解法については以下で解説しますが、その前にこの問題文の趣旨を説明しておきます。これは硫黄酸化物に係る総量規制基準の算定の仕方についての説明文で、その算定方法が次の2種類から選べるという話です。

  1. 特定工場等の原料や燃料から硫黄酸化物の量を計算する(原燃料使用量方式)
  2. 煙突から排出されて地上に到達した硫黄酸化物の量から計算する(着地濃度方式)

つまり、硫黄酸化物の総量を計算する際に、硫黄酸化物に変わる前の原料や燃料をベースに計算しているのが問題文の「一」、硫黄酸化物が排ガスとして拡散したあとの量をベースに計算しているのが問題文の「二」となります。法令では、このどちらを使ってもよいという規定になっています。

以上を踏まえて、改めて問題文と選択肢を見ていきます。

( ア )には「ばい煙発生施設」か「粉じん発生施設」が入ります。今回は硫黄酸化物の話であり、これは気体なのでばい煙に含まれる物質と考えれば、( ア )には「a ばい煙発生施設」を入れるのが適切だと判断することができます。

ちなみに、そもそも「粉じん発生施設」という用語はありません。「一般粉じん発生施設」や「特定粉じん発生施設」ならありますが、それらをまとめて粉じん発生施設と呼んだりはしないので、この点からも、bを選ぶのはおかしいということに気づけます。

( イ )に関して、工場や事業場が集中する地域において、このままだと環境基準の達成が困難だと懸念されるとき、法律による排出規制とは別に総量規制基準を設けて対処しています。

よって、原料から何かを作る工場であるか、燃料を燃やしてエネルギーを得る工場であるかなどは関係なく、硫黄酸化物を排出する全ての特定工場等に対して規制することが重要です。

そのため、( イ )の候補である「原料又は燃料の量」と「原料の量」とでは、「c 原料又は燃料の量」が適切だとわかります。

( ウ )には「燃費が増加」か「増加分がてい減」が入りますが、その直前が「硫黄酸化物の量の」となっている点から考えると簡単だと思います。ここで「燃費が増加」を入れるとすると、「硫黄酸化物の量の燃費」という意味の通じないフレーズができあがるので、これは不適当です。

一方、「増加分がてい減」を入れれば「硫黄酸化物の量の増加分がてい減」となるので意味は通ります。ちなみに、てい減(逓減)とは、しだいに減ることです。よって、( ウ )には「f 増加分がてい減」が入ります。

( ア )~( ウ )が正しく選べれば、この時点で選択肢は(2)しか残らないので、これが正解となります。

残る( エ )は知識問題ですが、着地濃度方式では、どの特定工場等でも最大地上濃度を一定の値以下に抑えるよう規制しています。よって、( エ )には「h 最大地上濃度」が入ります。

ちなみに、工場の煙突が高ければ高いほど、ばい煙は拡散されて最大地上濃度は下がるので、煙突から出す排出ガスの許容量は特定工場等ごとに異なるということになります。

以上をまとめると次のようになるので、正解は(2)です。

  • ア:a ばい煙発生施設
  • イ:c 原料又は燃料の量
  • ウ:f 増加分がてい減
  • エ:h 最大地上濃度

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