問 題
汽力発電所における熱効率向上方法として、正しいものを次の(1)～(5)のうちから一つ選べ。
- タービン入口蒸気として、極力、温度が低く、圧力が低いものを採用する。
- 復水器の真空度を高くすることで蒸気はタービン内で十分に膨張して、タービンの羽根車に大きな回転力を与える。
- 節炭器を設置し、排ガス温度を上昇させる。
- 高圧タービンから出た湿り飽和蒸気をボイラで再熱させないようにする。
- 高圧及び低圧のタービンから蒸気を一部取り出し、給水加熱器に導いて給水を加熱させ、復水器に捨てる熱量を増加させる。
正解 (2)
解 説
(1)は不適切です。汽力発電所では蒸気の勢いでタービンを回転させて電力を得るので、蒸気の持つエネルギーが高いほど熱効率は良くなります。つまり、温度が高く、圧力も高いほうが望ましいです。
(2)は正しいです。高い圧力を持った蒸気が真空度の高い(＝圧力の低い)ところに移動すると、急な圧力低下に応じて体積が大きくなります。このような蒸気の急激な膨張が、タービンの羽根車に大きな回転力を与えます。
(3)は不適切です。節炭器では、排ガスの持つ熱をボイラ(蒸発管)へ入る直前の給水を過熱するために使います。つまりは排熱の有効利用をしているので、節炭器を設置すると、回収した熱の分だけ排ガス温度は低下します。
(4)も不適切です。高圧タービンから出た湿り飽和蒸気をボイラで再熱させれば、再びタービンで仕事をすることができます。こうすることで熱効率の向上が見込めます。
(5)も不適切です。タービンから蒸気を一部取り出して給水を加熱させておけば、ボイラで水を蒸気に変えるためのエネルギーが少なくて済みます。また、熱回収により復水器に捨てる熱量を減らすことができるので、この操作は熱効率の向上につながります。
以上から、正解は(2)となります。
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