電験三種 R1年 電力 問2 問題と解説

 問 題     

次の文章は、水車の構造と特徴についての記述である。

( ア )を持つ流水がランナに流入し、ここから出るときの反動力により回転する水車を反動水車という。( イ )は、ケーシング(渦形室)からランナに流入した水がランナを出るときに軸方向に向きを変えるように水の流れをつくる水車である。一般に、落差40m~500mの中高落差用に用いられている。

プロペラ水車ではランナを通過する流水が軸方向である。ランナには扇風機のような羽根がついている。流量が多く低落差の発電所で使用される。( ウ )はプロペラ水車の羽根を可動にしたもので、流量の変化に応じて羽根の角度を変えて効率がよい運転ができる。

一方、水の落差による( ア )を( エ )に変えてその流水をランナに作用させる構造のものが衝動水車である。( オ )は、水圧管路に導かれた流水が、ノズルから噴射されてランナバケットに当たり、このときの衝動力でランナが回転する水車である。高落差で流量の比較的少ない地点に用いられる。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  •  (ア)     (イ)       (ウ)      (エ)     (オ)
  1. 圧力水頭  フランシス水車  カプラン水車   速度水頭  ペルトン水車
  2. 速度水頭  ペルトン水車   フランシス水車  圧力水頭  カプラン水車
  3. 圧力水頭  カプラン水車   ペルトン水車   速度水頭  フランシス水車
  4. 速度水頭  フランシス水車  カプラン水車   圧力水頭  ペルトン水車
  5. 圧力水頭  ペルトン水車   フランシス水車  速度水頭  カプラン水車

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

水車は大きく「衝動水車」と「反動水車」に分かれます。衝動水車とは、水の位置エネルギーを運動エネルギーに変換するような水車のことです。一方、反動水車は、水の位置エネルギーを圧力エネルギーに変換します。

( ア )では反動水車の話をしているため、ここには「圧力水頭」が入ります。ちなみに、水頭というのは水の持つエネルギーを水中の高さに置き換えたものです。そのため、「水頭≒エネルギー」と考えることができます。

( イ )の選択肢には「フランシス水車」、「ペルトン水車」、「カプラン水車」がありますが、この文章に合うのは「フランシス水車」です。

フランシス水車は最も一般的な水車で、中~やや高程度の落差で使われます。その構成は、渦巻ケーシング、ランナ、ガイドベーン(案内羽根)、吸出し管などです。

渦巻ケーシングとは、渦巻状の鉄管のことで、水圧鉄管からランナへと水を導くためのものです。このようにして水がランナを回転させ、その後水は吸出し管を通って放水されます。ガイドベーン(案内羽根)はその開閉により、負荷変動による流量の調節をおこないます。

一方、ペルトン水車は衝動水車の一種なので、そもそもここで話になっている反動水車ではありません。また、カプラン水車は次の段落に出てくるプロペラ水車の一種です。

( ウ )について、プロペラ水車はフランシス水車と同じ反動水車に属しますが、ランナがプロペラ羽根になっているという点が特徴的です。このプロペラ羽根は固定式と可動式のタイプに分かれますが、可動式のときは「カプラン水車」と呼ばれます。

よって、( ウ )には「カプラン水車」が入ります。

( エ )は冒頭で解説した通りです。衝動水車とは、水の位置エネルギーを運動エネルギーに変換するような水車のことなので、( エ )は「速度水頭」となります。

( オ )には代表的な衝動水車である「ペルトン水車」を入れるのが適切です。ペルトン水車は、ノズル、バケット、ランナ、デフレクタから構成されます。

ノズルから出てきた水をバケットで受け、その衝撃でランナ(水車の主体で、羽根つきの円盤)が回転する仕組みです。

ニードル弁を前後に動かすことによって水の出やすさが変わるので、ニードル弁によって水量の調整ができます。デフレクタは噴射される水の向きを変える(バケットからそらす)役割を担っていて、負荷変動に応じてバケットが受ける水の量を変え、回転数の異常を防ぎます。

このペルトン水車は200[m]以上の落差があるときに用いられる水車です。200[m]という数字はともかく、落差が大きいときに使われるという特徴は重要です。

以上から、正解は(1)となります。

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