電験三種 おすすめの参考書

はじめに

電験三種試験に関する本は様々な種類が出版されていますが、Amazonや楽天で見てもレビュー数が少ないため、その評価を参考にしてよいかどうか判断しかねるかと思います。

そこで、当サイトの管理人目線から各種の参考書・問題集の特徴や使い勝手をレビューしましたので、書籍選びにお悩みの方はぜひ参考にしてください。

総評

当サイトの管理人がオススメする書籍の選び方は、過去問題集を1冊と、参考書を1シリーズ選ぶことです。本当なら過去問の解説は2パターンくらいあるとよいですが、当サイトの過去問解説を併用すれば、書籍の過去問は1冊でも大丈夫です。

参考書は良質なものが1シリーズあれば事足りると思いますが、教科書的なものを読みながら体系的に学んでいく勉強スタイルか、演習問題を解く中で実践的に学んでいく勉強スタイルか、あるいは、じっくり時間を掛けて準備することができるかで、選ぶべきものが変わってきます。

そこで…多くの方にお勧めできる参考書の選び方は、以下の3パターンとなります。ご自分の勉強スタイルに合うものを選べば、効果的な試験対策ができると思います。

…とはいえ、現在の習熟度や予算の都合などによっても使うべきものが異なると思いますので、上記に加えてほかの書籍についても広く紹介していきます。

過去問題集のレビュー

電験3種過去問題集

過去問は様々な出版社から発売されているものの、使いやすさ・解説の質ともにほかの本よりも優れている印象です。この本と当サイトの過去問解説の2つを組み合わせて使うことで、効果的な試験対策になるはずです。

この本の構成は、見開きページの左側に問題、右側に解説となっています(ちなみに、右ページを隠すためのシートも付属)。他社の過去問では4分の1ページくらいでさらっと解説されている問題でも、この本ではその構成上、しっかり1ページ使って丁寧に解説しているのが特徴的です。

電験三種の試験は各科目60点を取れれば合格できるので、B問題を攻略する力があるかどうかよりも、むしろ基礎力を備えているかどうかが合否を分ける鍵となります。この本では難易度が低めの問題についても詳細な解説が載っているので、基礎力を育てるのに向いています。

逆にB問題の解説が窮屈なものになっているかというと、そんなことないのが不思議なところ。1ページの枠の中で解法の要点がしっかりまとまっているので、A問題をしっかり解ける力がつけば、この解説でも充分理解できるはずです。もしも難しく感じる場合でも、当サイトの解説と併せて読むことで理解が深まると思います。

また、この本はKindleや楽天Koboの電子書籍としても出版されています。10年分の過去問ともなると結構な重さがあるので、電車内・図書館・カフェなどで勉強する方は、電子書籍のほうを選ぶと持ち運びに便利だと思います。

  • あらゆる過去問題集の中でも、解説が丁寧でわかりやすい
  • 特に、基礎的な問題でも丁寧に解説しているのは好印象
  • 問題によっては当サイトでの解説と異なるアプローチをしていて、併用することで効果的な学習につながる
  • 家の外で勉強する場合には、電子書籍版が持ち運びに便利
  • 「みんなが欲しかった!」シリーズの参考書を使っているなら、次に紹介する同シリーズの過去問題集のほうが合うと思われる

みんなが欲しかった! 電験三種の10年過去問題集

上で紹介した「電験3種過去問題集」と同様にお勧めできる過去問題集が、この「みんなが欲しかった! 電験三種の10年過去問題集」です。

この本は、問題集1冊+各科目の解説集4冊の計5冊で構成されています。問題と解説が分かれているので解いている途中に解答が目に入る心配はありませんし、科目ごとに分冊されているので持ち運びに便利です。

肝心の内容についてですが、解説の質は多くの過去問題集と比べても丁寧に解説されているので、これを使うと効果的な学習ができると思います。ただし、上で紹介した「電験3種過去問題集」の解説と比べると、基礎的な事項については簡素な説明に留めている傾向にあるといえます。

この本を特に勧めたいのは、参考書に「みんなが欲しかった!」シリーズを選んだ方々です。同じシリーズであることから、参考書で説明している解法と同じアプローチで過去問題を解いているため、理解しやすいと思います。

  • 「みんなが欲しかった!」シリーズの参考書を使う人には特にオススメ!
  • 多くの過去問題集と比べても、比較的解説がわかりやすい
  • 解説集は科目ごとに分冊となっていて、持ち運びに便利
  • 基礎的な問題は、前に紹介した「電験3種過去問題集」の解説のほうが丁寧

参考書のレビュー

「ニューこれだけ」シリーズ

本のタイトルで「これだけ」と謳っている通り、ほかの参考書に比べて要点がわかりやすく書かれています。もちろん、要点のみを丸暗記して何とかなる試験ではありませんが、その要点の背景知識や式の導入過程などをしっかり説明しているのが、この本の特徴です。

そのため、理解や納得しながら勉強することを重視する人にとっては、このシリーズはとても合うと思います。

例えば、いきなり過去問にトライしてみた結果、解けないどころか解説文すら意味不明だったような場合、この本で学んだあとなら過去問を自力で解けないまでも、解説文は理解できるようにはなっていると思います。つまり、この本を基礎力固めとして使って、過去問での演習によって実践力を鍛えるのが、オススメの勉強法です。

  • 重要事項が関連情報とともに良くまとまっていて、基礎固めに最適
  • 理解や納得をしながら学びたい人には、試験勉強の最初の一冊としてとてもオススメ!
  • 演習問題は少ないので、別途、過去問題集やほかの演習書を使う必要がある
  • 理解よりも実践を通して学ぶタイプの人には、次に紹介する「やさしく学ぶ」シリーズのほうが合っていると思われる

「やさしく学ぶ」シリーズ

この本は、教科書的な説明を最小限に抑えて、その分、例題や練習問題にしっかり紙面を割くというスタイルです。一見すると説明不足に思えるのですが、例題と練習問題がしっかり作られているので、そこまで含めてやりきれば、しっかりと実力が付くような構成になっています。

特にほかの参考書と大きく異なる点は、テーマごとの演習問題が「易しい問題 → 標準的な問題 → 実践的な問題」と意識的に並べられていることです。この順番の通りに解くことで、徐々にレベルアップしていくことが可能となります。

この本を使って演習問題を解く際には、一気に複数の問題を解いてしまうのではなく、1問解いたらすぐ解説を確認して、それから次の問題を解いてまた解説を確認する…というやり方がオススメです。前の問題の解説をしっかり踏まえた上で次の問題を解くことで、復習ができて、かつ、応用力を身につける助けとなるはずです。

ひとつ前に紹介した「ニューこれだけ」シリーズは、理解や納得をしながら学びたい人向けでしたが、この「やさしく学ぶ」シリーズは、やって覚えるタイプの人に向いている参考書だといえます。どちらのシリーズも良書であることには違いないので、あなたの勉強スタイルに合うほうをぜひ使ってみてください。

  • 演習を通して実力が身につく構成になっている
  • 問題の並び順が秀逸。徐々にレベルアップできるよう、出題テーマや難易度設定がよく練られている
  • やって覚えるタイプの人には、試験勉強の最初の一冊としてとてもオススメ!
  • 演習重視の参考書のため、教科書的な説明書きは少ない
  • 理解や納得をしながら学びたい人には、上で紹介した「ニューこれだけ」シリーズのほうが合っていると思われる

「みんなが欲しかった!」シリーズ

このシリーズは、教科書パートと問題集パートが明確に分かれている構成となっています。印象としては、上記で紹介した「ニューこれだけ」シリーズと「やさしく学ぶ」シリーズを足して2で割ったような感じです。

教科書パートではイラストが多くて説明文も丁寧に書かれているので、とても読みやすいです。一方で、問題集パートの解説がかなりあっさりしているのが気になりますが、教科書パートを参照しながら解説を読み解くという、自分で考えて学んでいくスタイルの人には向いているといえます。

教科書パートと問題集パートを合わせると1冊でも相当なボリューム(分厚さ)になるため、これを4科目分やるのには結構な時間と気力が求められます。それでも時間をかける価値はある参考書なので、勉強時間をしっかり確保できる人にはぜひオススメしたいです。

  • 1冊で教科書と演習書の両方の役割を果たす
  • イラストが多く見やすく、教科書パートでの説明文も丁寧
  • 充分な勉強時間を確保できる人にはオススメ
  • 問題集パートの解説があっさりしている(ただし、教科書パートを参照すればカバーできる)
  • 1冊のボリュームが大きく、時間とやる気が求められる

「完全マスター」シリーズ

上記の「みんなが欲しかった」シリーズは時間に余裕のある人向けですが、ここで紹介する「完全マスター」シリーズは反対に、勉強時間が限られている人にオススメの参考書です。

この本には試験に必要な知識が大体書かれていますが、なぜそうなるのかという根拠や導出過程、背景などの説明は少ないという特徴があります。イメージ的には、最重要事項が要点としてまとめられている「ニューこれだけ」シリーズと比べ、扱っている事項は多いけれど、その分、説明書きを省いたような構成となっています。

以下のどれかに当てはまるのであれば、この本を選ぶ価値があると思います。

  • 暗記科目が得意
  • 勉強時間が無いので詰め込み教育でもいいから試験を突破したい
  • すでに別の参考書などで大体のことは学んでいる

逆に、きちんと理屈を知って納得しないと勉強した気がしないという人なら、このシリーズは避けたほうが無難です。

  • 重要事項が簡潔にまとめられている
  • 暗記型の勉強が得意な人には合っている
  • 時間のない人が全範囲をざっと学ぶのには有用
  • 重要事項の背景や導出に関する情報が少ないので、対応できる出題傾向の幅が限られる
  • 試験対策にある程度の時間を費やせるなら、別の本を使ったほうが無難

「一発合格! やさしくわかる」シリーズ

その名に恥じぬ、やさしい説明文が特徴的な参考書です。要点がわかりやすく書かれている「ニューこれだけ」シリーズ以上に、さらに簡潔かつ明瞭で読みやすいです。

ただし、「優しい」かつ「易しい」ので、この本を読んだだけでは過去問レベルに到達できない可能性が高いです。

何冊も使って勉強する予定があるなら最初の一冊として選んでもよいかもしれませんが、高校物理を一通り学んだような人にはあまりオススメしません。以下のどれかに当てはまるのであれば、導入の一冊とするのもよいと思います。

  • 仕事や学校で電気に関わっていないが、電験を受験したい
  • 苦手科目がはっきりしていて、その克服の足掛かりにしたい
  • 特定の科目だけ合格していない科目合格者

ちなみに、4科目のうち法規に関してだけは試験問題レベルの水準でよくまとまっています。そのため、法規に関してはほかのシリーズよりもむしろこちらのほうが使いやすい印象です。

  • とにかく易しくて読みやすいので、専門外の人には導入の一冊として使えるかも
  • 科目合格者が、苦手意識のある科目を克服するための一冊として使えるかも
  • 法規科目に関しては試験レベルの水準でよくまとまっているので、万人にオススメできる
  • 難易度が低いので、これだけでは到底、合格ラインに届かない
  • 仕事や学校でいくらか当該分野を学習している人なら、別の本を使ったほうが無難(法規科目は除く)

「合格マスター」シリーズ

構成としては、「やさしく学ぶ」シリーズに近い演習メインの参考書です。

ただし、例題や章末問題の解説が簡素すぎる点、難易度のバランスが取れていない点を考えると、個人的にはこれよりも「やさしく学ぶ」シリーズをオススメします。

  • 演習問題が充実している
  • 演習問題の解説が簡素すぎて、理解力の向上につながりにくい
  • 問題数は多いが、難易度を考慮した並び順になっていないので使いにくい

「徹底演習」シリーズ

「徹底演習」シリーズは、問題のテーマごとにいくつもの演習問題を集めているという構成です。まさに徹底的に演習できるので、とにかく問題数をこなしたい人向けとなっています。

ただし、オリジナルの問題ではなく過去問から転用しているので、個人的には「だったら過去問題集をやればよいのでは…」と思うのが本音です。解説の質という面でも、電気書院の「電験3種過去問題集」のほうがオススメできます。

とはいえ、この本だと年度ごとではなく出題テーマごとに問題が並んでいるため、特に苦手な分野が明確になっている場合は、集中的に対策することができて便利です。

  • 過去問がテーマ別に並んでいるので、特定の分野を集中的に演習できる
  • 解説にメリハリがなく、要点がわかりにくい
  • 解説の質や使いやすさは「電験3種過去問題集」のほうが上

その他のレビュー

電卓 シャープ EL-VN82

番外編で、おすすめの電卓の紹介です。

この試験では主に四則演算をするために電卓を用いることができます。ただし、関数電卓を使用することは認められていません。もちろん、スマホの電卓機能もNGです。

そんなに複雑な計算は要求されないので、手元に電卓があるならそれを使えばよいと思います。しかし、もし手元になくて買おうという場合には、せっかくなので使いやすいものを選んでください。

当サイトの管理人が使っているものはシャープの「EL-VN82」という型番の電卓です。色の種類はゴールド・ブルー・ブラウン・ピンクの4色があります。

この電卓は押したときの反応が早く、素早く入力してもきちんと認識されるので気に入っています。11cm×18cmと大きめの電卓なので、数字も打ちやすいです。

また、「→」ボタンが優秀です。これは打ち間違えたときに1字戻るボタン(パソコンでいうBack Space)です。これがないと、打ちミスのたびに最初から入力し直すことになってしまうので、この機能は個人的にはかなり大事だと思っています。

それと、慣れてくると「00」ボタンが便利です。「0」を2回押すのと全く同じことですが、「0」を連打するより打ち間違えるリスクが減ります。ちなみに、この試験ではkWをW換算したり、AをmA換算したりして計算することがあるので、0がたくさん並ぶ機会は結構多いです。

  • 素早く押してもしっかり反応する
  • サイズが大きめなので打ちやすい
  • 「→」ボタンにより、打ちミスしても1字ずつ消せる
  • 「00」ボタンが意外と活躍する
  • サイズが大きいので、持ち運びがやや不便(でも入力ミスが減るメリットのほうが大きい)

電子書籍リーダー Kindle Scribe

参考書の中には電子書籍(Kindle版)として提供されているものもあり、それらはKindleアプリをダウンロードすればどのスマートフォン・タブレットでも利用することができます。

しかし、せっかくなら勉強するのに向いている端末を使ったほうが学習効率を高めることができると思うので、当サイトの管理人が使用している「Kindle Scribe(キンドル スクライブ)」を紹介します。

この端末は10.2インチの電子書籍リーダーで、最大の特徴は本物の紙のように読み書きできることです。ペンを使った手書きの付箋機能に対応していて、気になった点をメモしたり解説を追記したりできます。

例えば、過去問題集などの演習をこの端末を使って解く際には、

  1. 自力で解けなかった問題に「×」マークや解法に関する簡単なメモを残す
  2. 別の機会に付箋のあるところだけ見返して解き直す
  3. その問題の解法を理解できていれば付箋をはがす

…といった使い方ができます。もちろん、そのほかにも様々な活用法が考えられるので、ご自分に合った方法で勉強に活かしてもらいたいと思います。

また、この端末はKindleの電子書籍以外にも、PDFやMicrosoft Wordなどを取り込んでメモを書き込むことができます。さらに、メモ込みでエクスポートすることもできるので、使い慣れてきたら汎用性の高い便利な端末だと実感しています。

  • 手書きの付箋機能が秀逸(見返すときも便利)
  • ペンの使用感(手書きの反応性)が良く、ストレスを感じない
  • Kindle版以外にPDF・Wordなども使用可
  • 値段が高い(でもその価値はあると思う)
  • 一部の電子書籍は手書き入力機能に対応していない