V結線

前項まででは、三相交流回路の電線の組み方をY結線またはΔ結線として説明してきました。多くの場合、この2つのどちらかの形を取るのですが、たまに、V結線(ブイ結線)が出題されることもあります。そこで、この項ではV結線の形とその際の電圧や電流の大きさについて紹介します。

まず、V結線は文字通りV字の形をした結線で、Δ結線から1つの辺を消し去ったような感じとなります。

ここで覚えておきたいことは、V結線では、相電圧と線間電圧の大きさも、相電流と線電流の大きさも等しいということです。

相電圧と線間電圧、相電流と線電流のページで解説した通り、Y結線では線電流と相電流の大きさが等しく、Δ結線では線間電圧と相電圧の大きさが等しいのですが、V結線の場合、そのどちらも等しいということが特徴的です。

ただし、V結線の相の数(2つ)と線の数(3つ)が違うので、位相については相と線で必ずしも一致していません。上図からもわかるように、aの相とそこからつながる線の位相は一致し、bの相とそこへつながる線の位相は一致しますが、a相とb相の間から伸びている線の位相については、両相の合力をベクトル図で描いて判断することになります。

結論からいえば、下図のように示すように、3線の位相はそれぞれ2π/3[rad](120°)ずつずれた対称的なものとなります。試験対策としては結論だけ覚えておけば構わないと思いますが、じっくり考えて理解したい場合は、上図の回路図に記載された情報と、下図のベクトルを見比べながら考えてみてください。

Y結線、Δ結線、V結線のまとめ

  • Y結線では、線電流と相電流はその大きさも位相も等しくなります。
  • Y結線では、線間電圧は相電圧の√3倍の大きさで、位相はπ/6[rad](30°)の進みになります。
  • Δ結線では、線間電圧と相電圧はその大きさも位相も等しくなります。
  • Δ結線では、線電流は相電流の√3倍の大きさで、位相はπ/6[rad](30°)の遅れとなります。
  • V結線では、線電流と相電流、線間電圧と相電圧の大きさが、それぞれ等しくなります。
  • V結線では、相の数と線の数が異なるので、位相は必ずしも一致しません。

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