真性半導体と不純物半導体

半導体とは、その名前からも連想できる通り、導体と絶縁体の中間のようなもので、ある程度の電気を流す物質のことです。また、半導体を構成する成分(元素)によって、真性半導体不純物半導体とに分かれます。不純物半導体はさらに、n形半導体p形半導体に細分されます。

真性半導体

極めて高い純度に精製されたシリコン(ケイ素、Si)の結晶は、真性半導体として扱われます。ケイ素は価電子数が4つ(4価)であり、このときは正孔と自由電子の数が等しくなるため、ケイ素は電気的に中性です。

自由電子とは、電流が流れる元となる物質のことで、負の電気として扱われ、その数は価電子数と同じ値になります。一方、正孔(ホール)とは、自由電子が足りてない部分のことで、負の電気である電子がなくて穴のようになっているので、正孔(ホール)と呼ばれていています。その数は、8から価電子数を引いた値となります。

よって、ケイ素は価電子数が4なので自由電子の数も4で、8-4=4から正孔も4です。ということは、自由電子と正孔との数が同数となるため、これは真性半導体となります。

また、半導体は多少は電気を通すけれど、導体のように(ほぼ)無抵抗で電流を流すわけではありません。その点では半導体も抵抗も同じような感じがするのですが、全く反対の特徴も持っています。それは、半導体は温度が高くなると電流が流れやすくなるという特徴です(抵抗は温度に比例して増えます)。

理屈としては、温度が高いほど自由電子のもつエネルギーが大きくなって、電子の動きがより大きくなるためです。ちなみに、これは真性半導体に限らず、ほとんどの半導体に当てはまる特徴です(例外はありますが、電験三種の試験においては気にしなくていいです)。

不純物半導体

真性半導体は、半導体としては電流が比較的流れにくいです。そこで、主成分はシリコン(ケイ素、Si)の結晶のまま、ちょっとだけ違う元素を混ぜると抵抗が下がり電流が流れやすくなります。

混ぜる元素がリン(P)ヒ素(As)のような5価の元素の場合、自由電子の数が5で、正孔の数は8-5=3となるので、自由電子のほうが多くなります。このような不純物を混ぜた半導体を、n形半導体といいます。n形の「n」はnegativeの頭文字なので、負の電気である自由電子が過剰になるときはn形半導体と覚えてください。

一方、混ぜる元素がホウ素(B)ガリウム(Ga)アルミニウム(Al)のような3価の元素の場合、自由電子の数が3で、正孔の数は8-3=5となるので、正孔のほうが多くなります。このような不純物を混ぜた半導体を、p形半導体といいます。p形の「p」はpositiveの頭文字なので、正孔が過剰になるときはp形半導体と覚えてください。

また、n形半導体を作るための不純物(リン、ヒ素など)のことをドナーといいます。5価の元素は自由電子が豊富であり、電子を提供する(=ドナー)能力があるので、このように呼ばれます。

一方、p形半導体を作るための不純物(ホウ素、ガリウム、アルミニウム)のことをアクセプタといいます。3価の元素は電子不足なために電子を受け取る(=アクセプト)能力があるので、このように呼ばれます。

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