三相電力

前項では、三相交流回路の1相分の等価回路を描いて、三相負荷が消費する有効電力を求める問題例を紹介しました。このように、三相負荷が消費する有効電力は、1相あたりの等価回路から求めた電力を単純に3倍すればよいです。つまり、次のような式が成り立ちます。

  • P:三相負荷が消費する有効電力 [W]
  • P1:1相分の等価回路の負荷が消費する有効電力 [W]
  • V:相電圧 [V]
  • I:相電流 [A]
  • cosθ:力率

ちなみに、上式のVやIはΔ結線とY結線のどちらのときか…と悩むかもしれませんが、上式はどちらの場合でも使えます。というのも、VまたはIのそれぞれはΔ結線のときとY結線のときとで異なる値を取りますが、以下の式から考えてもわかるように、VとIとの積はΔ結線でもY結線でも同じになるからです(詳しくは、相電圧と線間電圧、相電流と線電流のページ参照)。

また、上記は相電圧や相電流がわかっている場合の三相電力の求め方を紹介しましたが、場合によっては、線間電圧と線電流から三相電力を求める必要のある出題パターンもあります。この場合、上記の変換式を使うと、以下のように表すことができます。

上式は、最初に示した電力の式と、次に示した変換式の組み合わせなので、敢えて覚えておかなくても大丈夫です。

以上は消費電力(有効電力)P[W]についての説明でしたが、三相交流回路の皮相電力S[V・A]や無効電力Q[var]についても単相交流回路のときと同様に考えることができます(皮相電力などの詳しい解説については、単相での説明を皮相電力、有効電力、無効電力、力率のページでしているので参照してください)。

つまり、三相交流回路において、S[V・A]、P[W]、Q[var]はそれぞれ以下の式で表すことができます。

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