電験三種 H30年 電力 問3 問題と解説

 問 題     

汽力発電所の蒸気タービン設備に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 衝動タービンは、蒸気が回転羽根(動翼)に衝突するときに生じる力によって回転させるタービンである。
  2. 調速装置は、蒸気加減弁駆動装置に信号を送り、蒸気流量を調整することで、タービンの回転速度制御を行う装置である。
  3. ターニング装置は、タービン停止中に高温のロータが曲がることを防止するため、ロータを低速で回転させる装置である。
  4. 反動タービンは、固定羽根(静翼)で蒸気を膨張させ、回転羽根(動翼)に衝突する力と回転羽根(動翼)から排気するときの力を利用して回転させるタービンである。
  5. 非常調速装置は、タービンの回転速度が運転中に定格回転速度以下となり、一定値以下まで下降すると作動して、タービンを停止させる装置である。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

(5)の「定格回転速度以下となり、一定値以下まで下降すると」という部分が誤りで、正しくは「定格回転速度以上となり、一定値以上まで上昇すると」となります。ちなみに、一定値というのは定格回転速度の110%の値です。

もし何かの異常によってタービンの回転速度がものすごく上がってしまうと、電気的または物理的な事故や災害につながるおそれがあります。そのようなことがないよう、異常に高い回転を検知したら一度タービンを停止させるほうが安全です。そのための装置が非常調速装置です。

もし(5)の記述のようにタービンの回転速度が運転中に定格回転速度以下となった場合、思ったような出力が得られないのでそれはそれで困ります。しかし、設備を損傷させたり人に危害を及ぼすような方向の不具合ではないため、これを防ぐために緊急停止装置を設けるといった措置は必要ありません。

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