問 題
次の文章は、配電線路の電圧調整に関する記述である。誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 太陽電池発電設備を系統連系させたときの逆潮流による配電線路の電圧上昇を抑制するため、パワーコンディショナには、電圧調整機能を持たせているものがある。
- 配電用変電所においては、高圧配電線路の電圧調整のため、負荷時電圧調整器(LRA)や負荷時タップ切換装置付変圧器(LRT)などが用いられる。
- 低圧配電線路の力率改善をより効果的に実施するためには、低圧配電線路ごとに電力用コンデンサを接続することに比べて、より上流である高圧配電線路に電力用コンデンサを接続した方がよい。
- 高負荷により配電線路の電圧降下が大きい場合、電線を太くすることで電圧降下を抑えることができる。
- 電圧調整には、高圧自動電圧調整器(SVR)のように電圧を直接調整するもののほか、電力用コンデンサや分路リアクトル、静止形無効電力補償装置(SVC)などのように線路の無効電力潮流を変化させて行うものもある。
解 説
(1)は正しいです。太陽電池発電設備などの分散型電源が系統に接続されると、発生した電力が逆潮流して電圧が上昇することがあります。この逆潮流を抑制するために、パワーコンディショナに電圧調整機能を持たせたり、連系保護装置を導入したりします。
(2)も正しいです。配電用変電所では、高圧配電線路の電圧を調整するために、LRAやLRTといった機器が使用されます。これらの装置は、負荷の変動に応じてリアルタイムで電圧を調整し、電圧の安定を図ります。
(3)が誤りです。配電線路の力率を改善するために、電力用コンデンサが使用されます。力率改善は、送電効率を高めるだけでなく、電圧調整の手段としても重要です。ただし、電力用コンデンサを設ける位置は、上流の高圧側よりもむしろ機器に近い下流の低圧側のほうがよいです。
もし上流に電力用コンデンサを接続して力率を改善したとしても、そこから長いケーブルを経る間に、損失が生じることなどによって力率が下がってしまいます。それであれば、より機器に近い場所で力率の調整を行うほうが効果的であるといえます。
よって、(3)の「低圧配電線路ごと」と「より上流である高圧配電線路」を反対にすれば、これは正しい記述になります。
(4)は正しいです。配電線路の電圧降下が大きい場合、電線の太さを増やすことで抵抗を減少させ、電圧降下を抑えることができます。これは、特に長距離の配電線路において重要な対策となります。
(5)も正しいです。記述の通り、電圧調整には、直接的に電圧を調整する装置(例:SVR)と、無効電力を利用して間接的に電圧を調整する装置(例:電力用コンデンサ、分路リアクトル、SVC)があります。
以上から、正解は(3)となります。
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