電験三種 H29年 電力 問14 問題と解説

 問 題     

電気絶縁材料に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. ガス遮断器などに使用されているSF6ガスは、同じ圧力の空気と比較して絶縁耐力や消弧能力が高く、反応性が非常に小さく安定した不燃性のガスである。しかし、SF6ガスは、大気中に排出されると、オゾン層破壊への影響が大きいガスである。
  2. 変圧器の絶縁油には、主に鉱油系絶縁油が使用されており、変圧器内部を絶縁する役割のほかに、変圧器内部で発生する熱を対流などによって放散冷却する役割がある。
  3. CVケーブルの絶縁体に使用される架橋ポリエチレンは、ポリエチレンの優れた絶縁特性に加えて、ポリエチレンの分子構造を架橋反応により立体網目状分子構造とすることによって、耐熱変形性を大幅に改善した絶縁材料である。
  4. がいしに使用される絶縁材料には、一般に、磁器、ガラス、ポリマの3種類がある。我が国では磁器がいしが主流であるが、最近では、軽量性や耐衝撃性などの観点から、ポリマがいしの利用が進んでいる。
  5. 絶縁材料における絶縁劣化では、熱的要因、電気的要因、機械的要因のほかに、化学薬品、放射線、紫外線、水分などが要因となり得る。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

SF6ガスは気体絶縁材料としてよく用いられる物質です。

これが優れている理由は、(1)の前半にも書かれている通り、絶縁耐力や消弧能力が高く、反応性が非常に小さく安定した不燃性のガスである点です。反応性が低くて安定した物質であるということは、オゾンとも反応しないため、オゾン層の破壊を起こしません。

そもそも、これが使われるようになった経緯として…かつては優れた電気絶縁材料としてフロンが使われていましたが、フロンがオゾン層を破壊することがわかったので、その代替品を探し求めた結果、SF6ガスが開発されました。

ただし、SF6ガスは温室効果ガスであるので、地球温暖化の観点からは問題視されています。

よって、(1)の後半部分が誤りなので、これが正解の選択肢です。

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