電験三種 H29年 電力 問12 問題と解説

 問 題     

次の文章は、我が国の高低圧配電系統における保護について述べた文章である。

6.6kV高圧配電線路は、60kV以上の送電線路や送電用変圧器に比べ、電線路や変圧器の絶縁が容易であるため、故障時に健全相の電圧上昇が大きくなっても特に問題にならない。また、1線地絡電流を( ア )するため( イ )方式が採用されている。

一般に、多回線配電線路では地絡保護に地絡方向継電器が用いられる。これは、故障時に故障線路と健全線路における地絡電流が( ウ )となることを利用し、故障回線を選択するためである。

低圧配電線路で短絡故障が生じた際の保護装置として( エ )が挙げられるが、これは、通常、柱上変圧器の( オ )側に取り付けられる。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

   (ア)   (イ)   (ウ)     (エ)      (オ)

  1. 大きく  非接地  逆位相  高圧カットアウト  二次
  2. 大きく  接地   逆位相  ケッチヒューズ   一次
  3. 小さく  非接地  逆位相  高圧カットアウト  一次
  4. 小さく  接地   同位相  ケッチヒューズ   一次
  5. 小さく  非接地  同位相  高圧カットアウト  二次

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

( ア )と( イ )に関して、先に( イ )について見てみると、ここには「接地」か「非接地」が入ります。

接地方式というのはY結線の中性点で接地をするタイプで、この方式だと地絡電流が大きくなってしまうデメリットがありますが、一方で健全相の電圧は影響を受けません。

非接地方式はΔ結線で中性点がないので接地しない方式で、こちらは地絡電流が小さく済むのがメリットですが、健全相の線間電圧が上がってしまうのがデメリットです。

よって、電圧が必要以上に上がってしまうと危険である60kV以上の高圧送電線には接地方式が向いていて、6.6kV程度の送電線には非接地方式を選ぶのがよいです。

以上から、( ア )には「小さく」が、( イ )には「非接地」が入ります。

( ウ )の選択肢は「逆位相」か「同位相」となっていますが、地絡方向継電器が健全線路と故障線路とを見分ける仕組みの話なのに「同位相」を入れてしまうと、どちらも同じで区別がつかなくなってしまいます。

よって、ここには「逆位相」を入れるべきです。

( エ )と( オ )について、柱上変圧器の一次側には、過電流保護のために高圧カットアウトが設けられ、柱上変圧器内部及び低圧配電系統内での短絡事故を高圧系統側に波及させないようにしています。

よって、( エ )には「高圧カットアウト」が、( オ )には「一次側」が入ります。

( エ )のもうひとつの選択肢であるケッチヒューズも過電流保護のために用いられるものですが、これは低圧引込線よりも需要場所側に過電流が流れないようにするために用いられます。

つまり、高圧カットアウトが高圧系統-低圧系統間の遮断に用いられるのに対し、ケッチヒューズは低圧引込線-需要場所間の遮断に用いられます。

高圧カットアウトが柱上変圧器の「一次側」に取り付けられるというのは、正誤問題などで頻出なので、ぜひ押さえておいてください。

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