電験三種 H27年 電力 問9 問題と解説

 問 題     

架空送電線路のがいしの塩害現象及びその対策に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. がいし表面に塩分等の導電性物質が付着した場合、漏れ電流の発生により、可聴雑音や電波障害が発生する場合がある。
  2. 台風や季節風などにより、がいし表面に塩分が急速に付着することで、がいしの絶縁が低下して漏れ電流の増加やフラッシオーバが生じ、送電線故障を引き起こすことがある。
  3. がいしの塩害対策として、がいしの洗浄、がいし表面へのはっ水性物質の塗布の採用や多導体方式の適用がある。
  4. がいしの塩害対策として、雨洗効果の高い長幹がいし、表面漏れ距離の長い耐霧がいしや耐塩がいしが用いられる。
  5. 架空送電線路の耐汚損設計において、がいしの連結個数を決定する場合には、送電線路が通過する地域の汚損区分と電圧階級を加味する必要がある。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

がいしの塩害対策には主に以下の4つがあります。

  1. がいしの増結:がいしの連結個数を増やすと絶縁強度が上がります。これを過絶縁といいます。これは塩じん害の対策として用いられる最もポピュラーな方法です。
  2. がいしの洗浄:がいしを洗浄して塩分を除去することで塩じん害を抑えます。
  3. はっ水性コンパウンドの塗布:がいしの表面にはっ水性コンパウンド(シリコンコンパウンド)を塗布することで、塩じん害から保護します。
  4. ルートの選定:そもそもの話になりますが、送電線を通すルートを塩じん害の少ない場所にする方法です。

よって、(3)に記載されているうち、「がいしの洗浄」と「がいし表面へのはっ水性物質の塗布の採用」は有効ですが、「多導体方式の適用」は特に塩害対策とはなりません。

多導体とは、1相に対して複数の電線を用いるということなので、多導体方式を適用するとインダクタンスが下がり、静電容量は上がります。よって、送電容量が上がって安定度が増すので、コロナが発生しにくくなります。

つまり、これは塩害対策ではなく、コロナの発生抑制のために用いられる手法です。

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