電験三種 H27年 電力 問10 問題と解説

 問 題     

電圧66kV、周波数50Hz、こう長5kmの交流三相3線式地中電線路がある。ケーブルの心線1線当たりの静電容量が0.43μF/km、誘電正接が0.03%であるとき、このケーブル心線3線合計の誘電体損の値[W]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 141
  2. 294
  3. 883
  4. 1324
  5. 2648

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

誘電体損は、交流電圧の印加によりケーブルの絶縁体内で発生する損失です。

交流電界を誘電体に加えたとき、電気エネルギーの一部が熱エネルギーに変わるために生じる損失なので、そのエネルギーは、以下の図において、抵抗Rの両端の電圧差と、そこを流れる電流との積になります(ただし、この図は1相あたりの等価回路なので、3相合計の誘電体損を知るには最終的に3倍する必要があります)。

ちなみに、上図の電源電圧Eは、問題文の66kVを66000Vに直すとともに、三相のうち1相分だけ取り出しているので、√3で割っています。また、静電容量Cについては0.43μF/kmが5kmなので、μ(=10-6)を考慮すると、C=0.43×10-6×5となります。

そして、上図から、1相あたりの誘電体損Plossは、次の式で表すことができます。

ここで、抵抗を流れる電流とコンデンサを流れる電流の位相差は90°であり、誘電正接は次の式の通りです。

また、ICは次の計算式で求めることができます。

よって、1相あたりの誘電体損Plossを計算すると、以下のようになります。

求めるのは、ケーブル心線3線合計の誘電体損なので、これを3倍すると求める答えとなります。

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