電験三種 H26年 法規 問3 問題と解説

 問 題     

電圧6.6kVで受電し、最大電力350kWの需要設備が設置された商業ビルがある。この商業ビルには出力50kWの非常用予備発電装置も設置されている。

次の(1)~(5)の文章は、これら電気工作物に係る電気工事の作業(電気工事士法に基づき、保安上支障がないと認められる作業と規定されたものを除く。)に従事する者に関する記述である。その記述内容として、「電気工事士法」に基づき、不適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

なお、以下の記述の電気工事によって最大電力は変わらないものとする。

  1. 第一種電気工事士は、この商業ビルのすべての電気工作物について、それら電気工作物を変更する電気工事の作業に従事することができるわけではない。
  2. 第二種電気工事士は、この商業ビルの受電設備のうち低圧部分に限った電気工事の作業であっても従事してはならない。
  3. 非常用予備発電装置工事に係る特種電気工事資格者は、特種電気工事を行える者であるため、第一種電気工事士免状の交付を受けていなくても、この商業ビルの非常用予備発電装置以外の電気工作物を変更する電気工事の作業に従事することができる。
  4. 認定電気工事従事者は、この商業ビルの需要設備のうち600V以下で使用する電気工作物に係る電気工事の作業に従事することができる。
  5. 電気工事士法に定める資格を持たない者は、この商業ビルの需要設備について、使用電圧が高圧の電気機器に接地線を取り付けるだけの作業であっても従事してはならない。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

電気工事士法では、電気工事士を以下の4種類に分類しています。

  • 第一種電気工事士(自家用電気工作物・一般用電気工作物の電気工事ができる)
  • 第二種電気工事士(一般用電気工作物の電気工事ができる)
  • 特種電気工事資格者(特種電気工事ができる)
  • 認定電気工事従事者(簡易電気工事ができる)

以上を踏まえて、選択肢を確認していきます。

まず、(1)について、第一種電気工事士であれば自家用電気工作物と一般用電気工作物の両方を扱えますが、特種電気工事については認められていないので、このビルの非常用予備発電装置は扱えません。よって、(1)の記述は正しいです。

(2)について、第二種電気工事士は一般用電気工作物の電気工事ができますが、自家用電気工作物は認められていません。いくら低圧部分に限ったとしても自家用電気工作物の電気工事はできないので、これも正しい記述です。

(3)について、非常用予備発電装置工事に係る特種電気工事資格者なら、このビルにある非常用予備発電装置の電気工事を行うことができます。しかし、特種電気工事資格者は第一種電気工事士の上位の資格というわけではなく、あくまでも特種電気工事のみが対象です。

よって、この人が第一種電気工事士免状を持っていない場合は、非常用予備発電装置以外の電気工事はできないので、この選択肢の文章が誤りで、(3)が正解となります。

(4)について、認定電気工事従事者は簡易電気工事をすることが認められています。簡易電気工事とは、電圧600V以下で使用する自家用電気工作物に係る電気工事のことです。よって、これも正しい記述です。

(5)について、電気工事をする際には基本的には上記の4つの資格が必要ですが、「軽微な作業」をするだけなら、無資格で行っても構わないことになっています。

軽微な作業については「電気工事士法施行規則」第2条(軽微な作業)に該当する作業がたくさん列挙してありますが、これらをいちいち覚えていなくても(5)の記述中に「高圧の電気機器」とあるので、高圧が関わるのに「軽微な作業」と呼ぶのは無理があると推測できます。よって、(5)の記述も正しいです。

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