電験三種 H25年 理論 問4 問題と解説

 問 題     

図のように、透磁率μ0[H/m]の真空中に無限に長い直線状導体Aと1辺a[m]の正方形のループ状導体Bが距離d[m]を隔てて置かれている。AとBはxy平面上にあり、Aはz軸と平行、Bの各辺はx軸又はz軸と平行である。A、Bには直流電流IA[A]、IB[A]が、それぞれ図示する方向に流れている。

このとき、Bに加わる電磁力として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

なお、xyz座標の定義は、破線の枠内の図で示したとおりとする。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

Bに加わる電磁力が問われていますが、Bは正方形をしているので、直線の導体が4本あるとして分けて考えます。

わかりやすいのがBの正方形のうち、上辺と下辺です。上辺は電流が紙左から右へと流れ、下辺は右から左へと流れていているので、向きが反対です。そしてAからの距離は上辺も下辺も同じなので、上辺に加わる電磁力と下辺に加わる電磁力は、大きさが全く同じで、符号が反対ということになります。よって、この2辺分だけを考えると、その合力は0です。

次に正方形の左辺と右辺を考えます。これらも流れる電流の向きが違うので、加わる電磁力の符号が反対になりますが、Aの導体からの距離も異なるため、加わる電磁力の大きさも変わってきます。電磁力の式は以下の通りです。

  • F:反発力[N]
  • μ:透磁率[H/m]
  • I:電流[A]
  • l:導線の長さ[m]
  • d:導体間距離[m]

左辺については、この式のdはdのまま、lはaになります。右辺については、この式のdがd+aになり、lはaになります。符号は上記の通り反対になるので、合力はこれらの差を求めればよいです。

よって、答えが(2)と(3)に絞られます。

最後に力の向きを決めます。

導体Aの電流の向きは紙面上から下で、これにより発生する磁界の向きは右ねじの法則に従います。そのため、導体Aよりも右側にある導体Bのところでは、磁界の向きは奥側から手前側へと向かう方向となります。

すると、導体Bを流れる電流の向き問題の図で与えられているので、あとはフレミングの左手の法則を使えば、力の向きがわかります。

つまり、導体Bの左辺に注目すると、電流は下から上、磁界は奥から手前なので、働く力の向きは右向き、つまり+x(正)の方向となります。一方、導体Bの右辺に注目すると、電流は上から下、磁界は奥から手前なので、働く力の向きは左向き、つまり-x(負)の方向となります。

ただし、すでに示した電磁力の式からもわかる通り、導体間距離が近いほど電磁力は大きくなるので、右辺よりも左辺の影響のほうが大きいことがわかります。よって、全体で考えると、導体Bに加わる電磁力は+x(正)の方向であると判断することができます。

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