電験三種 H24年 機械 問10 問題と解説

 問 題     

交流電圧va[V]の実効値Va[V]が100[V]で、抵抗負荷が接続された図1に示す半導体電力変換装置において、図2に示すようにラジアンで表した制御遅れ角α[rad]を変えて出力直流電圧vd[V]の平均値Vd[V]を制御する。

度数で表した制御遅れ角α[°]に対するVd[V]の関係として、適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし、サイリスタの電圧降下は、無視する。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

単相全波整流回路において、出力直流電圧vd[V]の平均値Vd[V]を求める公式があります。

  • Vd:出力直流電圧
  • vd[V]の平均値[V]
  • Va:交流電圧
  • va[V]の実効値[V]
  • α:制御遅れ角[°]

上式は公式として覚えておきたいですが、導出の過程が気になる場合は整流装置(単相全波整流回路)のページを参照してください。

この式のαに、わかりやすそうな数値をいくつか代入して計算していけば、それに合う図が選択肢の中から見つかるはずです。ここでは、一例として、αを0°、90°、180°として計算してみます。

よって、(5)が正解だと判断できます。

ちなみに、上で紹介した公式は覚えていてほしいですが、もし試験中にこの式を思い出せなくても、ある程度選択肢を絞ることができます。

この問題ではvd[V]の平均値Vd[V]が問われているので、図2を見てα=π[rad]=180[°]のときは面積が一切なくなるので、Vdが0になることはわかりますが、α=π[rad]=90[°]のときはvdが描く面積が残っているため、(1)と(2)が誤りだとわかります。

また、このときの面積はα=0[rad]=0[°]のときのちょうど半分であることがわかるので、α=90[°]のときのVdがやたら大きい(3)も誤りであることがわかります。

これで(4)と(5)の2つまで絞れましたが、(4)が正解か(5)が正解かは、先ほど解説した計算式を使わないと判断できなさそうです。

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