電験三種 H24年 機械 問9 問題と解説

 問 題     

次の文章は、太陽光発電設備におけるパワーコンディショナに関する記述である。

近年、住宅に太陽光発電設備が設置され、低圧配電線に連系されることが増えてきた。連系のためには、太陽電池と配電線との間にパワーコンディショナが設置される。パワーコンディショナは( ア )と系統連系用保護装置とが一体になった装置である。

パワーコンディショナは、連系中の配電線で事故が生じた場合に、太陽光発電設備が( イ )状態を継続しないように、これを検出して太陽光発電設備を系統から切り離す機能をもっている。

パワーコンディショナには、( イ )の検出のために、電圧位相や( ウ )の急変などを常時監視する機能が組み込まれている。ただし、配電線側で発生する( エ )に対しては、系統からの不要な切り離しをしないよう対策がとられている。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

   (ア)    (イ)   (ウ)    (エ)

  1. 逆変換装置 単独運転 周波数  瞬時電圧低下
  2. 逆変換装置 単独運転 発電電力 瞬時電圧低下
  3. 逆変換装置 自立運転 発電電力 停電
  4. 整流装置  自立運転 発電電力 停電
  5. 整流装置  単独運転 周波数  停電

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

パワーコンディショナは、太陽電池で発電された電力を低圧配電線に流すために必要な処理を行う装置で、つまりはインバータ(直流電力を交流電力に変換する装置)の一種です。

( ア )には「整流装置」または「逆変換装置」が入りますが、交流を直流に変換することが整流(順変換)で、直流を交流に変換するのが逆変換なので、インバータの一種であるパワーコンディショナには「逆変換装置」が合います。

( イ )には「自立運転」または「単独運転」が入りますが、まずはこれらの意味の違いを確認します。

自立運転は、分散型電源が連系している電力系統から解列された状態において、当該分散型電源設置者の構内負荷にのみ電力を供給している状態を指す言葉です。

一方、単独運転は、分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において、当該分散型電源が発電を継続し、線路負荷に有効電力を供給している状態です。

つまり、自立運転のほうは、解列した系統内で発電と消費を行っているという、まさに自立した状態なので、特に危険性はありません。

単独運転のほうは、事故時に発電はしているけれど大きな負荷につながっていない(線路負荷くらいしか行き場がない)状態で、電力の供給と需要が一致せずに感電や機器の損傷の危険度が高い状態です。

問題文には「( イ )状態を継続しないように」とあるので、( イ )は望ましくない状態であると考えられます。単独運転時は感電やそれに伴う人身事故、火災などの危険性があるため、( イ )には「単独運転」が入ると判断できます。

( ウ )について、太陽光発電設備が単独運転を始めたとしても、発電能力が変わるわけではないので、「発電電力」が急変することはありません。一方、配電側とのつながりがなくなっているので、単独運転に移行した瞬間には電圧位相や周波数が急変します。よって、( ウ )には「周波数」を入れるのが適切です。

( エ )のような現象が起きても通常通りの運転を続けたい、という趣旨なので、これは「瞬時電圧低下」です。瞬時電圧低下はすぐに元通りの電圧に戻るため、これが起きるたびに系統からの切り離しは必要ありません。しかし、もし配電線側で停電が起こると、太陽光発電設備が単独運転することになってしまうので、切り離しが必要です。

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