電験三種 H24年 機械 問11 問題と解説

 問 題     

次の文章は、電動機の運転に関する記述である。

交流電源-整流器-平滑用コンデンサ-インバータで構成される回路によって電動機を駆動する場合、( ア )の大きな負荷を減速するときには、電動機からインバータに電力が流れ込む。

このとき直流電圧が上昇するので、( イ )とパワー半導体デバイスとの直列回路を平滑用コンデンサと並列に設け、パワー半導体デバイスをスイッチングして電流を調整することによって、電動機からの電力を消費させることができる。この方法を一般に( ウ )制動と呼んでいる。

一方、電力を消費するのではなく、逆変換できる整流器を介して交流電源に電力を戻し、他の用途などに有効に使うこともできる。この方法を一般に( エ )制動と呼んでいる。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

    (ア)       (イ)    (ウ)  (エ)

  1. 慣性モーメント  抵抗     発電  回生
  2. 慣性モーメント  抵抗     降圧  発電
  3. 摩擦係数     抵抗     降圧  発電
  4. 慣性モーメント  リアクトル  発電  回生
  5. 摩擦係数     リアクトル  降圧  回生

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

慣性モーメントというのは、回転体がその回転速度を維持し続けようとする性質(=慣性)の大きさを表すパラメータです。

慣性モーメントが大きい場合、電動機を減速しようとして電源から送る電力を減らす一方で、電動機の回転体はまだかなりの回転速度で回り続けるため、結果として逆方向に(電動機からインバータへ)電力が流れ込むことになります。よって、( ア )は「慣性モーメント」が適切です。

問題文の2段落目は上昇した直流電圧を下げるため、何かしらの方法を使って電力を消費させたい、という話です。( イ )の候補である「抵抗」と「リアクトル」のうち、電力を消費できるのは「抵抗」のみです。このような制動方法を「発電制動」と呼びます。これが( ウ )に入ります。

そうすると( エ )には「発電」が入らないので、「回生」が正しいということになります。回生とは、「回して生かす」という字の通り、余ったエネルギーを電力に変換して何かほかのところで有効利用する、という意味です。

( ウ )の「発電制動」よりも( エ )の「回生制動」のほうがわかりやすければ、( ア )、( イ )、( エ )を答えて正解の選択肢を選んでもいいかもしれません。

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