問 題
交流電圧va[V]の実効値Va[V]が100[V]で、抵抗負荷が接続された図1に示す半導体電力変換装置において、図2に示すようにラジアンで表した制御遅れ角α[rad]を変えて出力直流電圧vd[V]の平均値Vd[V]を制御する。
度数で表した制御遅れ角α[°]に対するVd[V]の関係として、適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、サイリスタの電圧降下は、無視する。
解 説
単相全波整流回路において、出力直流電圧vd[V]の平均値Vd[V]を求める公式があります。
- Vd:出力直流電圧
- vd[V]の平均値[V]
- Va:交流電圧
- va[V]の実効値[V]
- α:制御遅れ角[°]
上式は公式として覚えておきたいですが、導出の過程が気になる場合は整流装置(単相全波整流回路)のページを参照してください。
この式のαに、わかりやすそうな数値をいくつか代入して計算していけば、それに合う図が選択肢の中から見つかるはずです。ここでは、一例として、αを0°、90°、180°として計算してみます。
よって、(5)が正解だと判断できます。
ちなみに、上で紹介した公式は覚えていてほしいですが、もし試験中にこの式を思い出せなくても、ある程度選択肢を絞ることができます。
この問題ではvd[V]の平均値Vd[V]が問われているので、図2を見てα=π[rad]=180[°]のときは面積が一切なくなるので、Vdが0になることはわかりますが、α=π[rad]=90[°]のときはvdが描く面積が残っているため、(1)と(2)が誤りだとわかります。
また、このときの面積はα=0[rad]=0[°]のときのちょうど半分であることがわかるので、α=90[°]のときのVdがやたら大きい(3)も誤りであることがわかります。
これで(4)と(5)の2つまで絞れましたが、(4)が正解か(5)が正解かは、先ほど解説した計算式を使わないと判断できなさそうです。
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