ビル管理士試験 2023年 問39 問題と解説

 問 題     

紫外線に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 紫外線には殺菌作用がある。
  2. 紫外線は皮膚表層で吸収される。
  3. 紫外線のリスクとして悪性黒色腫の発生がある。
  4. 紫外線の曝露(ばくろ)が起こる作業の一つにアーク溶接がある。
  5. 紫外線の曝露による白内障は、ガラス工白内障として古くから知られている。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

紫外線と赤外線の人体などへの影響を、それぞれ把握できているかを問う問題は頻出です。今回は赤外線は問題となっていませんが、ぜひ併せて確認しておいてください。

紫外線は波長が短く透過性は低いので、眼や皮膚といった表面に対する作用が主です。ただし、その影響力は大きく、特に悪い影響が目立ちます(具体的な作用は後述)。

一方、赤外線は波長が長く透過性が大きいので、人体の奥まで届きます。赤外線はヒーターに使われることからもわかるように、「熱」の作用である点が最大の特徴です。

紫外線と赤外線、それぞれの作用には次のようなものが挙げられます。

【紫外線の作用】

  • 体内のビタミンDの生成
  • 皮膚の紅斑の出現
  • 皮膚癌(悪性黒色腫)
  • 白内障
  • 電気性眼炎
  • 急性角膜炎
  • 殺菌作用
  • 無精子症
  • 白血病

【赤外線の作用】

  • 熱中症
  • 皮膚血管の拡張
  • 代謝の促進
  • 白内障(ガラス工白内障)

※ どちらにも白内障が書かれていますが誤植ではありません。紫外線も赤外線も白内障の原因となり得ます。

以上を踏まえて選択肢を見ると、(5)の「ガラス工白内障」は紫外線ではなく赤外線によるものだと判断できます。ガラス工は、ガラス工場の高炉から生じる強い赤外線を長時間浴びているため、昔は白内障になりやすかったようです(現在では安全に作業できる環境が整備されています)。

「白内障」は紫外線の作用でもありますが、(5)では「ガラス工白内障」に限った話をしているので、これが誤りの記述であり、(5)が正解となります。

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