ビル管理士試験 おすすめの参考書

はじめに

ビル管理士試験に関する本は様々な種類が出版されていますが、Amazonや楽天で見てもレビュー数が少ないため、その評価を参考にしてよいかどうか判断しかねるかと思います。

そこで、当サイトの管理人目線から各種の過去問題集・参考書の特徴や使い勝手をレビューしましたので、書籍選びにお悩みの方はぜひ参考にしてください。

総評

結論から云えば、以下の3冊(過去問2冊・参考書1冊)を買い揃えるのがベストです。この試験は過去問が繰り返し出題されるため、過去問中心の勉強が効率的です。

…とはいえ、勉強スタイルや習熟度、予算の都合などによっても使うべきものが異なると思いますので、上記に加えてほかの書籍についても広く紹介していきます。

過去問のレビュー

ビル管理士試験模範解答集(通称・赤本)

この試験に関する書籍の中でおそらく最も多くの人が手にするのが、この「ビル管理士試験模範解答集」だと思います。個人的にもオススメの本で、ほかの様々な出版社から発売されている過去問集よりも解説の質が優れている印象です。この本と当サイトの過去問解説の2つを組み合わせて使うことで、効果的な試験対策になるはずです。

本の構成としては、直近6年間分の過去問題と解説が年度ごとに掲載されています。

特に直近の試験については詳細な解説がなされていて、その問題を解くための知識だけではなく、関連情報も併せて掲載されています。直近から2年目の解説はそれよりもやや簡潔になりますが、それでも充分な内容になっています。

一方、直近から3~6年目の分は、解説文がさらに簡潔になってしまいますが…全部を1年目と同じように書かれてもボリュームが多すぎて勉強するほうも対応しきれないおそれがあるので、これくらいでちょうどよいかもしれません。

もしこの本で書かれている解説でも理解しにくい場合、当サイトの解説と併せて読むことで理解が深まると思います。特に計算問題などはこの本と当サイトで解法のアプローチが異なることもあるので、両方に目を通すことが参考になるはずです。

この本に掲載されている6年間分をしっかり解くのが試験合格に向けたひとまずの到達点になりますので、ぜひ手に取ってもらいたい一冊です。

  • 他社の過去問集に比べて、解説が丁寧
  • 特に直近の試験の解説では、関連情報を含めて体系的に学べる
  • 試験勉強の最初の一冊として、とてもオススメ!
  • 3年前以前の解説はやや簡素(なので、直近2年分から先に解くのがオススメ)
  • 直近6年分しか掲載されていない(次に紹介する青本を併用すればカバーできる)

ビル管理士試験 もっと過去問題集(通称・青本)

上で紹介した赤本と同じ出版社が出している過去問題集で、表紙が青いことから「青本」とも呼ばれます。赤本が直近6年間分を扱っているのに対し、こちらは赤本よりも古い年度の10年間分が掲載されています。

要するに、赤本の6年分だけでは演習量が足りないと思った人が、さらにもう10年分の演習を行えるという、シンプルながら有用なアイテムです。

赤本では直近から1年目・2年目・3~6年目の解説のボリュームが異なると紹介しました。青本での場合、10年分全てが赤本でいう3~6年目の解説と同等のボリュームです。つまり、あっさりした解説にはなっていますが、赤本の6年間分を経てからこの本に取り組んでいれば、このくらいの情報量で充分だと思われます。

この試験は過去問題から類似問題(or全く同じ問題)がたびたび出題されるので、時間の許す限り過去問題の数をこなすというのは、合格率をアップさせるために有効な手段です。充分な勉強時間が確保できる人には、ぜひ赤本と併せて使ってほしい一冊です。

  • 赤本よりも古い年の過去問題が10年分掲載されている
  • 試験では過去問題から繰り返し出題されがちなので、実質、予想問題集として使える
  • 勉強時間に余裕がない人には、これより赤本がオススメ(解説は赤本のほうが丁寧なので)

全7科目354分類 ビル管理技術者試験問題集(通称・黒本)

この本は過去問題集が約10年分掲載された過去問題集です。表紙が黒いことから「黒本」とも呼ばれます。赤本や青本との大きな違いは、こちらは問題が年度順ではなく、出題テーマ順に並んでいるという点です。

その構成上、極端に類似した問題をいくつも並べても仕方がないので、重複した過去問題は省略してあります。上記で「約10年分」と表現したのはそういう意味で、取りこぼしがあるわけではありません。

年度順に並んでいる赤本か、テーマ順に並んでいる黒本か…これは完全に好みの問題なので、どちらを選んでもよいと思います。ただし、黒本の解説の文章は赤本よりもあっさりしているので、万人向けなのは赤本のほうかもしれません。

すでにある程度の知識を持っていて自分の得意・不得意分野を把握している人だったら、弱点克服のために特定の分野を演習できるので、こちらの黒本がオススメです。

特に、すでにビル管試験を受けたことがある人は、この本をパラパラめくって、自信のなさそうな分野を重点的にやるのが効率的な得点アップにつながります。

また、この本には出題テーマごとの最重要事項がワンポイントアドバイスのような形で書かれていて、これが非常に良くまとまっています。

  • 過去問題が出題テーマごとに並んでいるので、弱点克服の演習書として最適
  • 特に、ビル管試験の受験経験者にはオススメの一冊
  • 出題テーマごとのワンポイントアドバイスが秀逸
  • 本番と同じスタイルで過去問題を演習したいなら、これではなく赤本を
  • 解説の仕方は赤本のほうがやや丁寧

参考書のレビュー

ラクラクわかる!ビル管理試験 集中ゼミ

参考書の中で最もオススメなのは「ラクラクわかる!ビル管理試験 集中ゼミ」です。

この本は、各出題テーマの重要事項を見開きページ(2ページ分)にまとめた構成となっています。その情報量は多くの参考書と比較してもかなり充実していて、試験でよく出題される重要事項に関しては、漏れなくきちんと収録されています。

何より、各項目の最初に書かれている「学習のポイント」というワンポイントアドバイスが秀逸です。そのテーマの注意点や到達点が的確にまとめられているので、これを踏まえた上で本文を読むと理解がしやすいです。

また、重要箇所は強調して示されているので、押さえるべき点がわかりやすいのも本書の良い点です。強調箇所は出題傾向のツボをしっかり突いているので、一度じっくり取り組んだあとは、強調箇所をざっと見直すだけでも良い復習になります。

ちなみに、この本には申し訳程度の演習が付いていますが、これはあまりアテにできません。演習書は過去問題集など、別のものを用意したほうが無難です。

  • 教科書的なものを読みながら体系的に学んでいくスタイルの人に向いている
  • 記載内容(特に強調されている箇所)と出題傾向がマッチしている
  • 項目ごとに用意されている「学習のポイント」のまとめ方が秀逸
  • 演習問題はおまけ程度なので、別途、赤本などの演習書(過去問題集)が必要

完全突破!ビル管理技術者受験テキスト

多くの参考書では、重要事項を一通り説明したあとに演習問題を設けていますが、この本では演習問題はなく、ひたすら教科書的な説明や図表が連なっているのが特徴的です。情報が体系的にまとまっているので、参照しやすく検索性に優れています。

演習にページを割かない分、試験合格のために押さえるべき重要事項はほぼ全て網羅されていて、情報量の面から見ると、ひとつ前で紹介した「ラクラクわかる!ビル管理試験 集中ゼミ」よりも充実しているといえます。

ただし、充分な情報量が収載されている一方で、重要度の重みづけの区別がわかりづらいです。そのため、この本だけだと押さえるべき点が明確にならないので、本書を冒頭から熟読するといった使い方には向いていません。

むしろ、過去問題集を使って演習をする中で、解けない問題や引っ掛かる知識のところをこの本で参照するという使い方をすれば、自分の苦手分野や知識不足をカバーすることができます。このように、優れた辞書として手元に備えておきたい一冊です。

なお、同じ完全突破!シリーズにはこの「受験テキスト」のほかに「受験問題集」もありますが、こちらはひたすら○×問題とその答えが載っているだけで、解説がほぼ皆無です。これなら過去問題集をやったほうがずっと良いので、「受験問題集」のほうはオススメしません。

  • 演習問題を解く中で実践的に学んでいく勉強スタイルの人に向いている
  • 重要事項はほぼ全て網羅されている上、体系的にまとまっている
  • 問題演習をしながら辞書のように参照することで、効率的な学習ができる
  • 情報量が多い分、重要度の高低がややわかりにくい(なので、辞書のような使い方に向いている)
  • 同シリーズの演習書「完全突破受験問題集」はオススメできない

これだけマスター ビル管理試験

本書は参考書と演習書が一冊でまとまっているタイプの本で、出題テーマごとに一通り重要事項をまとめたあと、章末に演習問題が並んでいます。

参考書と演習書が一冊となったものには次に紹介する「完全攻略」もありますが、参考書パートの情報量・演習パートの問題の質の観点から考えると、いずれもこちらに分があるように感じます。

…とはいえ、結局は参考書と演習書を一体にしているので、どちらも中途半端な分量になってしまい、深いところまでは扱い切れていません。学ぶことと解くことを両立させるには、やはり優れた参考書と優れた演習書(過去問題集)を別々に用意したほうがよいと思います。

  • これ一冊で参考書と演習書を兼ねている
  • 同じく参考書・演習書一体型の「完全攻略」よりは内容が充実している
  • 参考書部分:「完全突破受験テキスト」や「ラクラクわかる集中ゼミ」と比べると情報量不足
  • 演習部分:過去問題集(赤本や黒本)のほうが質・量ともに上

ビル管理試験 完全攻略

本書の構成は、見開きページの左側が重要事項の説明、右側が演習となっています。つまり、参考書と演習書が一体となっているのが特徴的です。

参考書部分に関して、重要事項の説明はやや情報不足とも思えますが、特に大事な最重要事項をピックアップしているので、合格に欠かせない知識を効率的に得ることができます。しかし、情報を厳選したが故に、カバーしきれていない部分が多いのも事実です。

また、演習問題部分に関しては出題傾向をうまく反映していないようで、過去問ではあまり見掛けないような問題も散見されます。この試験では過去問と同様の問題がくり返し出題されるので、本書で演習するのはあまりオススメできません。

このように、一長一短のある参考書ですが、試験本番までに充分な勉強時間がなく、突貫工事でもいいから何とか間に合わせたいという人には向いていると思います。

  • 重要事項の中でも大事な、最重要事項に絞って扱っている
  • 時間のない人が全範囲をざっと学ぶのには有用
  • 試験対策にある程度の時間を費やせるなら、別の本を使ったほうが無難
  • 参考書部分:情報量が少なく、出題傾向を網羅しているとは言い難い
  • 演習部分:問題の内容が出題傾向とミスマッチ

ビル管理士 要点テキスト(Ⅰ・Ⅱ)

このシリーズは「要点テキストⅠ」と「同Ⅱ」の分冊となっていて、それぞれ別売です。

Ⅰでは問1~問105の出題範囲である「建築物衛生行政概論」「建築物の環境衛生」「空気環境の調整」「建築物の構造概論」を扱い、Ⅱでは問106~問180の出題範囲である「給水及び排水の管理」「清掃」「ねずみ、昆虫等の防除」を扱っています。

それぞれが300ページくらいあり、合計で600ページ弱となるため、その情報量は充分だといえます。しかし、豊富なテキスト量が仇となっているのか、要点がまとまっていない箇所も散見され、要点テキストという本のタイトル通りではない印象を受けます。

ひとつ前で紹介した「完全攻略」は時間のない人向けだと書きましたが、このシリーズはその反対に、勉強時間を充分に取れる人にとっては有用かもしれません。

とはいえ、過去問から繰り返し出題されるこの試験の対策としては、参考書を読み込むよりも赤本や青本のような過去問題集をどんどん演習したほうが得点につながるのでは…と思ってしまうのが本音です。

  • 2冊合わせると情報量が豊富
  • 解説にメリハリがなく、要点がわかりにくい

その他のレビュー

電卓 シャープ EL-VN82

番外編で、おすすめの電卓の紹介です。

この試験では電卓の持ち込みが認められていませんが、試験勉強の際に計算問題を全て手計算で行うと時間がかかる場合もあるので、必要に応じて電卓を併用しながら演習を行うのが効率的だと思います。

もちろん試験本番では電卓なしで計算することになるので、そこまで複雑な計算問題は出題されません。そのため、手元に電卓があるなら試験勉強にそれを使えばよいと思います。しかし、もし手元になくてこれから買おうという場合には、せっかくなので使いやすいものを選んでください。

当サイトの管理人が使っているものはシャープの「EL-VN82」という型番の電卓です。色の種類はゴールド・ブルー・ブラウン・ピンクの4色があります。

この電卓は押したときの反応が早く、素早く入力してもきちんと認識されるので気に入っています。11cm×18cmと大きめの電卓なので、数字も打ちやすいです。

また、「→」ボタンが優秀です。これは打ち間違えたときに1字戻るボタン(パソコンでいうBack Space)です。これがないと、打ちミスのたびに最初から入力し直すことになってしまうので、この機能は個人的にはかなり大事だと思っています。

それと、慣れてくると「00」ボタンが便利です。「0」を2回押すのと全く同じことですが、この試験では延べ床面積[m2]や照度[lx]などで「0」がたくさん並ぶことがあるので、この機能があると便利です。

  • 素早く押してもしっかり反応する
  • サイズが大きめなので打ちやすい
  • 「→」ボタンにより、打ちミスしても1字ずつ消せる
  • 「00」ボタンが意外と活躍する
  • サイズが大きいので、持ち運びがやや不便(でも入力ミスが減るメリットのほうが大きい)

電子書籍リーダー Kindle Scribe

参考書の中には電子書籍(Kindle版)として提供されているものもあり、それらはKindleアプリをダウンロードすればどのスマートフォン・タブレットでも利用することができます。

しかし、せっかくなら勉強するのに向いている端末を使ったほうが学習効率を高めることができると思うので、当サイトの管理人が使用している「Kindle Scribe(キンドル スクライブ)」を紹介します。

この端末は10.2インチの電子書籍リーダーで、最大の特徴は本物の紙のように読み書きできることです。ペンを使った手書きの付箋機能に対応していて、気になった点をメモしたり解説を追記したりできます。

例えば、過去問題集などの演習をこの端末を使って解く際には、

  1. 自力で解けなかった問題に「×」マークや解法に関する簡単なメモを残す
  2. 別の機会に付箋のあるところだけ見返して解き直す
  3. その問題の解法を理解できていれば付箋をはがす

…といった使い方ができます。もちろん、そのほかにも様々な活用法が考えられるので、ご自分に合った方法で勉強に活かしてもらいたいと思います。

また、この端末はKindleの電子書籍以外にも、PDFやMicrosoft Wordなどを取り込んでメモを書き込むことができます。さらに、メモ込みでエクスポートすることもできるので、使い慣れてきたら汎用性の高い便利な端末だと実感しています。

  • 手書きの付箋機能が秀逸(見返すときも便利)
  • ペンの使用感(手書きの反応性)が良く、ストレスを感じない
  • Kindle版以外にPDF・Wordなども使用可
  • 値段が高い(でもその価値はあると思う)
  • 一部の電子書籍は手書き入力機能に対応していない