ビル管理士試験 2023年 問40 問題と解説

 問 題     

電離放射線に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 感受性が最も高い細胞は、消化管の上皮細胞である。
  2. アルファ線は紙一枚で遮断できる。
  3. 人体に与える影響の単位はシーベルト(Sv)である。
  4. 放射線による悪性腫瘍の発生は、確率的影響に分類される。
  5. 妊娠可能な婦人の骨盤照射は、月経開始後10日以内に行う。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

(1)は誤りです。電離放射線の感受性が最も高い細胞は、「消化管の上皮細胞」ではなく「リンパ球」です。

(2)は正しいです。α線は紙一枚で遮断できます。余談ですが、β線は紙一枚では遮断できませんが、薄い金属板を使うと遮断することができます。また、γ線は薄い金属板でも遮断できませんが、厚い鉛や鉄の板を使うと遮断することができます。

(3)も正しいです。放射線の人体に与える影響の単位は、Sv(シーベルト)です。ちなみに、放射能の単位はBq(ベクレル)です。これは頻出事項なので、放射線はSv、放射能はBqとしっかり区別して覚えてください。

(4)も正しいです。閾値があるときの健康影響を「確定的影響」といい、閾値がないときの健康影響は「確率的影響」といいます。

閾値があれば、それ未満の量であればどれだけあっても全く影響が出ない、という意味で結果が確定しています。閾値がなければ、どんなに少ない量であっても、もしかしたら影響が出てしまう、という意味で確率的な話となります。

電離放射線の生体影響は、閾値のないもの(=確率的影響)を覚えておいて、それ以外は全て確定的影響と考えるのがよいと思います。というのも、確率的影響のほうが出題されやすい上、出てくる影響が大体決まっているからです。

電離放射線の生体影響のうち、確率的影響は以下の3つです。それ以外のもの(脱毛や不妊など)は、閾値がある確定的影響であると考えてください。

  1. 悪性腫瘍(がん)
  2. 遺伝子異常
  3. 白血病

(5)も正しいです。ややマイナーな知識ですが、妊娠可能な婦人の骨盤照射は、妊娠していた場合に胎児に悪影響が出てしまわないよう、月経開始後10日以内に行う規定となっています。

以上から、正解は(1)となります。

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