抗血栓薬は、血栓の形成を阻止する薬です。
作用点は大きく3つです。
1つめは血液凝固系です。この系を阻害することで血栓の形成を阻止します。2つめは線溶系です。この系を促進させることで、間接的に血栓形成を阻止します。3つめは血小板です。血小板の凝集を阻害することにより血栓の形成を阻止します。
抗血栓薬は、大きく 4 つに分類されます。
ⅰ.アンチトロンビン III 依存抗凝固薬
ⅱ.ヘパリン類似薬
ⅲ.経口抗凝固薬
ⅳ.抗トロンビン薬
ⅰ.アンチトロンビン III 依存抗凝固薬
このタイプの代表的な薬は
・ヘパリン
などが挙げられます。
ヘパリンは、アンチトロンビン III の作用を増強することで抗凝固作用を示すことから、アンチトロンビン III 依存的な薬と呼ばれます。
ⅱ.ヘパリン類似薬
このタイプの代表的な薬は
・ダルテパリン(ヘパクロン)
・ダナパロイド(オルガラン)
などが挙げられます。
ダルテパリン、ダナパロイドは、ヘパリン類似物質です。要はヘパリンとイメージするとよいです。アンチトロンビン III の作用を増強、セリンプロテアーゼ(トロンビン、第 Xa 因子等)の活性を抑制します。アンチトロンビン III によるトロンビン阻害作用に比べ、第 Xa 因子阻害作用が強いです。
ⅲ.経口抗凝固薬
このタイプの代表的な薬は
・ワルファリンカリウム(ワーファリン)
などが挙げられます。
ワルファリンカリウムは、経口抗凝固薬です。ビタミン K と拮抗し、第 II、IX、VII、X 因子の合成を阻害します。「にくなっと~(肉納豆)」と覚えると覚えやすいかもしれません。
ワルファリンは扱いの難しい薬としてよく知られています。相互作用も多く、代表的な例として、納豆をはじめとするビタミン K 含有食品が薬効減弱を引き起こすため注意が必要です。
ⅳ.抗トロンビン薬
このタイプの代表的な薬は
・ガベキサート(レミナロン)
・ナファモスタット(フサン)
・アルガトロバン(アルガロン)
などが挙げられます。
ガベキサート、ナファモスタット、アルガトロバンは、抗トロンビン薬です。タンパク質分解酵素阻害薬でアンチトロンビン III 非依存的に凝固因子を阻害することにより、抗凝固作用を示します。
代表的な抗血栓薬をまとめると、以下の表になります。
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