止血薬は、主に2つの作用点に働きかけます。
1つめは血液凝固系です。固まるのを早める薬です。2つめは線溶系です。血栓を溶かそうする系を抑制することで、血が固まるのを間接的に早めます。
止血薬は作用機序に基づき、大きく 3 つに分類されます。
ⅰ.凝固系促進薬
ⅱ.線溶系抑制薬
ⅲ.酵素製剤
ⅰ.凝固系促進薬
このタイプの代表的な薬は
・フィトナジオン(ビタミン K1)
・メナテトレノン(ケイツー)
などが挙げられます。( )の中に書いたのは、商品名の一例です。
フィトナジオン、メナテトレノンは、凝固系促進薬です。ビタミン K1 , K2 とも呼ばれます。メナテトレノンには、骨形成促進作用もあり、骨粗しょう症にも適応があります。
ⅱ.線溶系抑制薬
このタイプの代表的な薬は
・トラネキサム酸(トランサミン)
・カルバゾクロム(アドナ)
・トロンビン
などが挙げられます。
トラネキサム酸、カルバゾクロム、トロンビンは、線溶系抑制薬です。
トラネキサム酸は、プラスミノーゲンやプラスミンのリシン結合部位に結合し、プラスミンによるフィブリン分解を阻害することにより止血作用を示します。さらに、プラスミンによるキニンやその他の活性ペプチドの生成を抑制する結果、抗アレルギー、抗炎症作用も示します。扁桃炎で喉が痛いといった時に広く処方されます。他にも肝斑といった皮膚のシミに対する内服薬として用いられます。
カルバゾクロムは血管強化薬です。凝固系、線溶系に影響を与えることなく止血作用を示す薬です。
ⅲ.酵素製剤
このタイプの代表的な薬は
・トロンビン
などが挙げられます。
トロンビンは酵素製剤です。フィブリノーゲンからフィブリンへの生成を促進することなどにより止血作用を示します。消化管内の出血などに古くから使われます。
この薬には注射してはいけないという警告が出ています。注射すると即座に血液が凝固してしまうためショックなど重篤な副作用がおきます。
代表的な止血薬をまとめると、以下の表になります。
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