糖質コルチコイドとは、副腎皮質(副腎の外側)で産生されるホルモンの一つです。タンパク質を糖化して血糖値を上昇させる働きを始めとして様々な働きを持つホルモンです。ステロイドホルモンとも呼ばれます。
ステロイドとは、環が4つ連なった特徴的構造を持つ化合物群の総称です。
生体で合成される天然の糖質コルチコイドには、鉱質コルチコイド作用と呼ばれる作用もあります。鉱質コルチコイドの代表例はアルドステロンです。
代表的な鉱質コルチコイド作用とは、腎臓におけるNaの再吸収促進です。その結果抗利尿作用をもたらします。鉱質コルチコイド作用が過剰になると、血圧上昇・浮腫といった症状をもたらします。
糖質コルチコイド代用薬は、様々な作用のうち、抗炎症作用、免疫抑制作用を期待して主に用いられます。
糖質コルチコイド代用薬は、大きく 2 種類に分類されます。
ⅰ.糖質コルチコイド代用薬(ステロイド)
ⅱ.抗副腎皮質ホルモン薬
ⅰ.糖質コルチコイド代用薬(ステロイド)
このタイプの代表的な薬は
・プレドニゾロン(プレドニン)
・デキサメタゾン(デカドロン)
・ベタメタゾン(リンデロン)
・トリアムシノロン(レダコート)
・トリアムシノロンアセトニド(レダコート)
・フルオシノロンアセトニド(フルコート)
などが挙げられます。
これらの名前を見た時、ステロイドだとすぐ連想し、免疫抑制や抗炎症に使われるということを意識し、又、全身性の薬であるため多くの副作用に注意する必要があると連想できることが重要です。
ⅱ.抗副腎皮質ホルモン薬
このタイプの代表的な薬は
・メチラポン(メトピロン)
・トリロスタン(デソパン)
・スピロノラクトン(アルダクトンA)
・カンレノ酸ナトリウム(ソルダクトン)
・エプレレノン(セララ)
などが挙げられます。
メチラポンは、11β-水酸化酵素阻害薬です。生体内の糖質コルチコイドの生成を抑制します。この結果、下垂体からの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH:adrenocorticotropic hormone)の生成がフィードバック作用により促進されます。
メチラポンを投与して ACTH が過剰分泌される状態をクッシング病と呼びます。メチラポンを投与しても、ACTH の分泌がかわらない状態をクッシング症候群と呼びます。どちらも慢性の糖質コルチコイド過剰症候群です。原因を調査するためにメチラポンが投与されます。
トリロスタンは、3β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素を特異的かつ競合的に阻害する薬です。その結果、アルドステロン及び糖質コルチコイドの生合成を阻害します。これらのホルモンの過剰症に対して用いられます。
スピロノラクトン、カンレノ酸カリウム、エプレレノンは、抗アルドステロン薬です。浮腫や高血圧に用いられます。特にエプレレノンはアルドステロン受容体に選択的に結合することが知られています。
代表的な糖質コルチコイド代用薬をまとめると以下の表になります。
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