鎮咳薬とは、咳を止める薬です。
咳は大きく乾性咳(痰がない咳)と湿性咳(痰がある咳)に分類されます。
咳は異物を気道から除去する生体防御反応です。よって、必要以上に咳を抑えるべきではありません。しかし、咳による不眠などを伴う場合は鎮咳薬が用いられます。
鎮咳薬は、主に乾性咳に用いられます。大きく 3 つに分類されます。
ⅰ.麻薬性中枢性鎮咳薬
ⅱ.非麻薬性中枢性鎮咳薬
ⅲ.末梢性鎮咳薬
ⅰ.麻薬性中枢性鎮咳薬
このタイプの代表的な薬は
・コデイン
・ジヒドロコデイン
などが挙げられます。
コデイン、ジヒドロコデインは、麻薬性中枢性鎮咳薬です。延髄咳中枢を抑制することにより鎮咳作用を示します。麻薬性は、依存性があります。
ⅱ.非麻薬性中枢性鎮咳薬
このタイプの代表的な薬は
・ノスカピン
・デキストロメトルファン(メジコン)
・チペピジン(アスベリン)
・グアイフェネシン(フストジル)
・ペントキシベリン(トクレス)
などが挙げられます。( )の中に書いたのは、商品名の一例です。
ノスカピン、デキストロメトルファン、チペピジン、グアイフェネシン、ペントキシベリンは、非麻薬性中枢性鎮咳薬です。非麻薬性は、依存性がありません。
ⅲ.末梢性鎮咳薬
このタイプの代表的な薬は
・ベンゾナテート
などが挙げられます。
ベンゾナテートは末梢性鎮咳薬です。肺の伸長受容器を抑制することにより鎮咳作用を示します。
代表的な鎮咳薬をまとめると以下の表になります。
去痰薬とは、痰をさらさらにすることで、痰の排出を容易にする薬です。去痰薬は、大きく 2 つに分類されます。
ⅰ.気道粘液溶解薬
ⅱ.気道粘膜潤滑薬
ⅰ.気道粘液溶解薬
このタイプの代表的な薬は
・ブロムヘキシン(ビソルボン)
・アセチルシステイン
・エチルシステイン(チスタニン)
・メチルシステイン(ベクタイト)
などが挙げられます。
ブロムヘキシン、◯◯システイン(アセチルシステイン、エチルシステイン、メチルシステイン)は気道粘液溶解薬です。
ブロムヘキシンは、気道粘液分泌促進作用、痰の溶解作用、肺表面活性物質(肺サーファクタント)の分泌促進などを介して、粘液の粘性を低下させます。
◯◯システインは、カルボシステインを除き、粘液のムコタンパク質の S – S 結合を切断することで粘液の粘度を低下させます。
※カルボシステインは、去痰薬の中で少し特殊です。まず、構造に注目すると、他の ◯◯ システインと違い、カルボシステインには SH 基がありません。このため、他の◯◯システインのように、S – S 結合切断による作用機序ではありません。
カルボシステインは、痰中のシアル酸とフコースの構成比の調節により分泌細胞を正常化させたり、気道粘膜の修復を行ったりする去痰薬です。
ⅱ.気道粘膜潤滑薬
このタイプの代表的な薬は
・アンブロキソール(ムコソルバン)
などが挙げられます。
アンブロキソールは、気道粘膜潤滑薬です。この薬はブロムヘキシンの活性代謝物です。肺表面活性物質(肺サーファクタント)の分泌促進が主な作用です。
代表的な去痰薬をまとめると、以下の表になります。
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