薬物相互作用とは、複数の薬物が投与された時に薬理作用が変化することです。薬の吸収、代謝、排泄における相互作用が主な薬物相互作用です。代表的な薬物相互作用を以下に例としてあげます。
吸収における代表的な薬物相互作用は、ニューキノロン系抗菌薬と、金属イオンの相互作用です。これは、ニューキノロンと金属イオンが不溶性キレート化合物を形成することにより吸収が低下する相互作用です。
代謝における代表的な薬物相互作用はテオフィリンとシメチジンの相互作用です。シメチジンは、全ての CYP という代謝酵素を阻害する薬物です。テオフィリンは CYP1A2 という酵素により代謝されます。シメチジンによりテオフィリンの代謝が阻害されることにより、テオフィリンの血中濃度が上がるという相互作用です。
排泄における代表的な薬物相互作用は、プロベネシドとペニシリンの相互作用です。プロベネシドは、尿細管に薬を排出する分泌作用を抑制する薬です。ペニシリンは腎排泄の抗菌薬です。プロベネシドにより、ペニシリンの分泌が抑制されることで排泄が遅くなり、ペニシリンの血中濃度が高いまま維持されるという相互作用です。
注意しなければならないのは、相互作用はそれ自体、よい悪いということはないということです。例えばプロベネシドは、ペニシリンの血中濃度を維持するために開発された薬であるという背景があります。
また、レボドパとカルビドパという2つの薬剤は、相互作用を活かした合剤として今もパーキンソン病の治療薬として使われています。カルビドパによる、末梢におけるレボドパ代謝酵素阻害を利用することで、中枢へのレボドパ移行を実現しているという合剤です。
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