代表的な放出制御型製剤として大きく4つの分類があります。すなわち、経口投与型、皮下注入型、口腔内適用型、子宮内適用型の4つです。それぞれについて更に具体的に説明します。
経口投与型製剤は更に、シングルユニットタイプとマルチプルユニットタイプに分けられます。シングルユニットタイプとは、経口投与しても崩壊せず、全体として放出制御が実現しているタイプの薬です。代表的なシングルユニットタイプの剤形としては、スパンタブ、ロンタブ、レペタブ、レジネート、グラデュメット、ワックスマトリックス、オロスなどがあります。
スパンタブは多層錠です。すぐに溶ける薬と、徐々に溶ける薬を重ねた錠剤です。
ロンタブは、内側に徐々に溶ける薬をおいて外側を速く溶ける薬で包み込んだ錠剤です。イメージは下図のようになります。
レペタブは外側が糖衣錠、内側が腸溶性コーティングを施したものです。
レジネートは、レジン(resin:樹脂)という言葉が入っていることからも推測できるのですが、イオン交換樹脂に薬物を結合させた錠剤です。消化管液中のイオンと交換して薬物が放出されます。
グラデュメットは、多孔性プラスチックのすき間に薬物を満たした錠剤です。拡散により徐々に薬物は放出されます。
ワックスマトリックスは、薬物を脂肪やロウに溶解/懸濁し、錠剤にしたものです。それぞれのイメージは、下図のようになります。
最後に、オロスは放出孔の開いた半透膜で包みこんだ薬物です。浸透圧による連続的な薬物放出が行われます。イメージは、以下のようになります。
マルチプルユニットタイプは、投与後崩壊して生じた個々の顆粒が徐放性を示すものです。代表的な剤形としては、スパンスルと、スパスタブがあります。
スパンスルは、速溶性の顆粒と、徐放性の顆粒を数種類混合してカプセルに充てんしたものです。スパスタブは、混合物を打錠したものです。イメージは、下図のようになります。
皮下注入型の放出制御製剤は、薬剤を、乳酸・グリコール酸共重合体に分散させたマイクロスフェアとなっています。
この形にすることにより、4~5週間に1回の皮下投与を可能にしている薬剤もあります(!)。
口腔内適用型としては、付着錠があります。基剤の中に主薬を含有させ、口に付着させて使用します。1日1回程度の使用で効果を発揮します。
子宮内適用型としては、薬剤を剤皮で包み込んだ T 型フレーム製剤があります。黄体ホルモンを長期的に放出する製剤で、最長5年有効な薬剤もあります(!)
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