医薬品となった製剤の品質保証のため、試験が行われます。この試験法については、日本薬局方にまとめられています。試験法を大別すると6つに分類できます。すなわち、化学的試験法、物理的試験法、生物学的試験法、粉体物性測定法、製剤試験法、容器試験法です。
化学的試験法の代表例は、鉱油試験法です。
鉱油試験法とは
注射及び点眼剤に用いる、非水性溶剤(油性の液体のこと。)中の
鉱油(鉱物からとれる油。代表例はパラフィン。)の混在を調べる試験です。
物理的試験法の代表例は、粘度測定法です。
(物理化学まとめました 流動現象および粘度)
ニュートン液体の粘度測定には、毛細管粘度計が用いられます。
非ニュートン液体の粘度測定には、回転粘度計法が用いられます。
※ニュートン液体の粘度測定を、回転粘度計法で行うこともできます。
生物学的試験法の代表例は、エンドトキシン試験法と、発熱性物質試験法です。エンドトキシンは、別名内毒素と呼ばれます。グラム陰性細菌の細胞壁外膜の構成要素です。リポ多糖です。リポ多糖とは、脂質及び多糖から構成される糖脂質の総称です。発熱性物質とは、体内において体温上昇作用をひきおこす物質の総称のことです。エンドトキシンも発熱性物質の一種です。
エンドトキシン試験法は、カブトガニの血球抽出成分より調製されたライセート試薬と呼ばれる試薬を用いてエンドトキシンを検出、定量する試験です。
発熱性物質試験法は、ウサギに検査対象の製剤を注射することで試験する方法です。エンドトキシンを含めた、様々な発熱性物質の検出が可能です。定量はできません。
粉体物性測定法の代表例は、粒度測定法です。光学顕微鏡法や、ふるいわけ法により試験します。
(製剤学まとめました 粉体の性質)
製剤試験法の代表例は、製剤均一性試験法、注射剤や点眼剤の不溶性異物検査法、崩壊試験法、溶出試験法です。
製剤均一性試験法とは、個々の製剤の、有効成分含量の均一性の試験です。含量均一性試験法と、質量偏差試験法により試験します。
含量均一性試験法は、試料 30 個以上をとり、10個、製剤中の有効成分を測定して、基準値をM、測定した平均値をX、標準偏差をsとした時
|M-X|+2.0 s
が15を超えず、かつ個々の製剤で異常値がなければOKという試験です。
質量偏差試験法も、ほぼ同じ試験ですが、製剤中の有効成分ではなく、質量を測定する点が違いです。測定するのが質量でよいため、含量均一性試験よりも簡素な試験です。
この試験を適用する製剤には、有効成分濃度が均一であるという仮定を適用できる製剤になります。具体的には、成分が完全に溶解した液を、カプセルに封入した製剤などです。
注射剤や点眼剤の不溶性異物検査法は、異物の有無を、肉眼で観察して確認します。製剤によって、明るさが規定されています。
崩壊試験法は、規定時間内に錠剤などが、試験液中で崩壊するかを確認する試験です。37±2℃の水の中で上下に振動させることで試験を行います。振動させる時間は製剤ごとに決められています。又、使われる試験液は、第1液(酸性 pH 1.2程度)と、第2液(ほぼ中性 pH 6.8程度)があります。やはり製剤ごとに使い分けます。
溶出試験法は、規定時間内に試験液中に溶け出す有効成分の量を測定する方法です。溶出試験法は、大きく3つに分類されます。すなわち、回転バスケット法、パドル法、フロースルーセル法です。これらの方法が、溶出試験法の方法であることを覚えておく必要があります。
容器試験法の代表例は、注射剤用ガラス容器試験法です。気泡が入っていないか、アルカリ溶液に溶出しないかといった試験を行なって規格に適合するかを確認します。
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