固体粒子が液体に分散したものを懸濁剤と呼びます。懸濁剤の多くは粗大分散系(粒子が1μm以上)に分類されます。分散している粒子は、そのままにしていると、粒子の密度が液体の密度よりも大きければ沈みます。これを沈降現象と呼びます。
沈降現象は、粒子が凝集体をつくらずに沈降する自由沈降と、凝集体をつくって沈降する凝集沈降に分類されます。凝集沈降の場合は、軽く振ると、もとの分散状態に戻すことができます(再分散)。自由沈降の場合は、再分散ができません。再分散が困難になってしまうことをケーキングとよびます。ちなみに、自由沈降における沈降速度は、Stokes式に従います。(参考 物理化学まとめ 沈降現象)
この沈降における再分散の可否は、クーロン力とファンデルワールス力の観点から理解することができます。すなわち、分散している状態とは、粒子が水和されており、水和された状態を安定させている力とはクーロン力です。ちなみに、電解質を懸濁剤に入れると、イオン強度が高いものほど、粒子の沈降を促します。一方、沈降により粒子同士の距離が近づくと、ファンデルワールス力が強く働きます。
懸濁粒子の沈降速度を遅くし、ひいては懸濁剤を安定化させるための方法として、スト-クス式から大きく2つの方法が考案され実際に応用されています。すなわち、粒子径を小さくすることと、増粘剤を加えて分散媒の粘度を大きくすることです。
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