国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R5年 問95解説

 問 題     

染色体の構造変異に関する記述㋐~㋓のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。


㋐ 欠失は、染色体の特定領域が抜け落ちた変異であり、偽潜性(偽劣性)と呼ばれる現象によって検出できる。

㋑ 重複は、染色体の特定領域が余分に存在する変異であり、欠失よりも致死となる確率は低い。

㋒ 逆位は、一つの染色体が2 か所で切断され、断片の向きが逆転して修復されたことによる変異であり、交叉を促進する働きをする。

㋓ 転座は、切断された染色体断片が他の染色体に移る変異であり、多くの植物種に見いだされる。


1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

㋐ ですが
欠失についての記述は妥当です。染色体欠失は MLPA 法と呼ばれる遺伝子検査法などにより検出されます。「偽潜性 (偽劣性)」ではないと考えられます。

偽潜性は、字面から「潜性ではないにもかかわらず、欠失により潜性として現れる」という事象です。つまり Aa という対立遺伝子について、A の方に欠失がおきて 「ーa」なり潜性としての性質が現れるということです。これだと単なる潜性として、特に染色体の欠失は検出されません。㋐ は誤りです。


㋑ は妥当です。

重複についての記述です。


㋒ ですが

逆位についての記述は妥当です。一つの染色体において断片が逆向きになった変異なので、2 本の染色体間における交叉を促進する働きは特にないと考えられます。㋒ は誤りです。


㋓ は妥当です。
転座についての記述です。


以上より、正解は 4 です。

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