国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R5年 問84解説

 問 題     

遺伝子変異モデルは、特定の遺伝子が胚発生過程においてどのように機能しているかを知る強力なツールである。次の ㋐ ~ ㋓ のうち、ゲノムに変異を誘発させて恒常的な遺伝子変異モデルを作出する方法に関連するものとして、妥当なもののみを挙げているのはどれか。


㋐ ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)

㋑ モルフォリノ

㋒ N‒ethyl‒N‒nitrosourea(ENU)

㋓ RNAi


1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

㋐ は妥当です。
ZFN は、DNA 編集技術としてよく知られています。一般的に使用される人工ヌクレアーゼとして他に、TALEN や CRISPR – Cas9 などがあります。

㋑ ですが
モルフォリノは、RNA、DNA のリボース、デオキシリボースの代わりにモルフォリン環を持つオリゴヌクレオチドです。一般的なアンチセンスの問題点 (安定性、特異性、細胞毒性など) を克服した第 3 世代のアンチセンスと呼ばれます。アンチセンスとは、遺伝子発現の抑制です。「ゲノムに変位を誘発させる方法」ではありません。㋑ は誤りです。

㋒ は妥当です。
ENU はアルキル化剤の一種です。高効率に塩基置換を誘発し、遺伝子の点突然変異を引き起こす強力な化学変異原です。

㋓ ですが
RNAi は、アンチセンス法の一種です。「ゲノムに変位を誘発させる方法」ではありません。㋓ は誤りです。


以上より、正解は 2 です。

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