国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R5年 問69解説

 問 題     

環境汚染の原因となり得る化学物質に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。


㋐ フタル酸エステル類はプラスチックの可塑剤として使用され、大気、水、土壌と多様な環境媒体中へ排出される。

㋑ ダイオキシン類の発生源の推測に、異性体組成の違いを使うことができる。

㋒ 防汚剤として船底に塗布されていた有機スズ化合物は、極めて低い濃度で雄の巻貝類を雌化させる作用を示す。

㋓ ジフェニルエーテル (C6H5 ‒ O ‒ C6H5) の水素をフッ素に置換した構造をもつ化合物群は、プラスチックや繊維等の代表的な難燃剤として使用されている。


1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

㋐ は妥当です。
フタル酸エステル類についての記述です。可塑剤とは、ある材料に柔軟性を与えたり、加工をしやすくするために添加する物質です。

㋑ は妥当です。
ダイオキシン類は、塩素で置換された2つのベンゼン環という共通の構造を持つ、特定の物質群です。燃焼環境などにより、組成の違いが生じます。

㋒ ですが
有機スズ化合物は、極めて低い濃度で巻貝類の「雌を雄化」させる作用を示します。「雄を雌化」ではありません。㋒ は誤りです。

㋓ ですが
水素を「臭素」に置換したポリ臭化ジフェニルエーテル (PBDE) についての記述と考えられます。水素を「フッ素」ではありません。㋓ は誤りです。


以上より、正解は 1 です。

コメント