問 題
薬物の吸収に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。
㋐ Biopharmaceutical Classification System (BCS) による薬物の分類は、薬物の溶解性と消化管における膜透過性をパラメータとしたものである。
㋑ 直腸上部から吸収された薬物は初回通過効果を受ける。
㋒ リボフラビンを空腹時に経口投与すると、投与量に比例して累積尿中排泄量は増大する。
㋓ 薬物を塗布後、皮膚表面をポリ塩化ビニルなどの薄いフィルムで被覆すると薬物の皮膚透過性は低下する。
1.㋐、㋑
2.㋐、㋓
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓
解 説
㋐ は妥当です。
生物薬剤学分類システム:BCS についての記述です。
㋑ は妥当です。
ちなみに、直腸の下部からであれば初回通過効果を受けません。
㋒ ですが
リボフラビンは十二指腸付近の担体により輸送される薬物です。そのため、GER が小さい方が担体の飽和を避けることができるため吸収量は増大します。
胃に入った薬物がどれくらいの速度で小腸に到達するかが GER(gastric emptying rate) です。GER の主要な変動要因としては食事や抗コリン薬があります。食事や抗コリン薬で、遅くなります。また、空腹やメトクロプラミドの投与で GER は速くなります。
空腹 → GER 速くなる → 担体の飽和が避けられない → ある程度の投与量以降は排泄量が変化しなくなる → 「投与量に比例」はしなくなる と考えられます。㋒ は誤りです。
㋓ ですが
密封療法についての記述です。密封療法により「吸収が促進」されることが期待されます。「薬物の皮膚透過性は低下」ではなく「上昇」と考えられます。㋓ は誤りです。
以上より、正解は 1 です。
コメント