国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R5年 問52解説

 問 題     

ステロイドホルモンとその関連薬に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。


㋐ ステロイドホルモンは、主に DNA 結合部位をもつ核内受容体に結合して作用する。

㋑ タモキシフェンは、乳腺のエストロゲン受容体 (ER) に対して拮抗作用を有するため、ER 陽性乳がんの治療薬として用いられている。

㋒ 鉱質コルチコイドであるアルドステロンは、標的遺伝子の MRE (mineralocorticoid response element) に結合して K+ の再吸収を促進する。

㋓ ベタメタゾンは、ハロゲン原子を有することで強い糖質コルチコイド作用を示す合成糖質コルチコイドであり、代謝が速く半減期は短い。


1.㋐、㋑
2.㋐、㋓
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

㋐ は妥当です。
ステロイドホルモンの作用機序に関する記述です。

㋑ は妥当です。
タモキシフェンは、エストロゲン受容体を遮断し、乳がん細胞の増殖を阻害します。

㋒ ですが
原発性アルドステロン症の症状を思い出すとよいのですが、過剰のアルドステロンは、腎尿細管に作用することで、Na 蓄積と K 喪失を引き起こします。「K+ の再吸収を促進」ではありません。㋒ は誤りです。


㋓ ですが
デキサメタゾンやベタメタゾンは、血中半減期が長いステロイドとして知られています。「半減期が短い」わけではありません。㋓ は誤りです。

ちなみに、ベタメタゾンの有するハロゲン原子は「フッ素」です。


以上より、正解は 1 です。

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