国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R5年 問43解説

 問 題     

キャピラリー電気泳動法に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ フューズドシリカ製のキャピラリーに pH 7 の緩衝液を用いて電圧をかけると、陰極から陽極に向かう電気浸透流が発生する。

㋑ DNA を分離する場合には、塩基対数の小さな DNA ほど速く移動する。

㋒ 泳動液の流れが栓流であるため、高速液体クロマトグラフィーと比べて分離能が高い。

㋓ キャピラリーゾーン電気泳動法では、電荷的に中性な物質でも分子量に応じて分離できる。

1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

㋐ ですが
pH 3 以上 → Si – OH 基解離 → キャピラリ表面 負電荷帯電 → 溶液中正電荷 表面に集積 → 電圧をかけることで、溶液が『陰極方向』に移動する という流れです。「陰極から陽極の方向」ではありません。選択肢 1 は誤りです。

㋑ は妥当です。
DNA の分離なので、キャピラリーゲル電気泳動という前提と思われます。キャピラリーゲル電気泳動では、小さい DNA ほど速く移動します。

㋒ は妥当です。
HPLC では流れが「層流」となります。

㋓ ですが
分子量に応じて分離するには、たとえばキャピラリーゲル電気泳動などで分離する必要があります。


以上より、正解は 3 です。

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