国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R5年 問39解説

 問 題     

粘度不明のグリセリン (密度 1200 kg・m-3) を高さ 2 m の円筒に満たした。上部液面から直径 6.0 mm、密度 3000 kg・m-3 の球状粒子を落としたときに、液面からの高さ 1.0 m から 1.5 m の区間を通過するのに 12 秒かかった。このとき、グリセリンの粘度として最も妥当なのはどれか。

ただし、粒子は液面から 1.0 m まで沈降するまでに終末速度に達しているものとし、このときのレイノルズ数はストークス域に入るものとする。また、重力加速度の大きさを 9.8 m・s-2 とする。


1. 0.40 Pa・s
2. 0.57 Pa・s
3. 0.85 Pa・s
4. 1.0 Pa・s
5. 1.3 Pa・s

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

2m の円筒にグリセリンというのは、TV 番組などで目にするスケール感ですごい実験と感じる設定でした。沈降速度がわかる実験なのでストークスの式を思い出します。

ストークスの式は
V = (1/18) × {(ρ – ρ0) × g} D2 / η0 です。

左辺 V は沈降速度です。
本問では 0.5m 落下に 12 秒かかっているので 0.5/12 です。

右辺 ρ は 粒子の密度です。(本問では 3000 kg/m3)
ρ0 は 液体の密度です。(本問では 1200 kg/m3)
D は粒子の直径です。(本問では6.0mm なので、6.0 × 10-3 m)
η0 が求めたい液体の粘度です。

数値を代入して整理すると
例えば以下のように計算できて 0.85 です。

以上より、正解は 3 です。

コメント