国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R5年 問32解説

 問 題     

次の ㋐、㋑、㋒ のうち、(E) ‒ 2 ‒ ヘキセンが主生成物となる反応として妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

㋐ は妥当です。
嵩高い強塩基による E2 反応なので、㋐ の構造で明示されている H に攻撃して Br が脱離します。そして、より安定な trans 体に対応する (E) 体アルケンが生成されると考えられるため、主生成物は (E) – 2 – ヘキセンです。

㋑ ですが
アルコールに強塩基なのでまず OH 基の H が奪われて アルコキシドになると考えられます。すると P+ ー O で緩やかな結合ができ四員環構造となります。この後 P = O 結合が生成される形でアルケンになる流れを Wittig 反応で見たことがあるのではないでしょうか。すると Wittig 反応で生成するアルケンは cis/trans の選択性が低いため、㋑ は誤りと考えられます。

㋒ ですが
KH が特徴的な試薬です。ピーターソンオレフィン化です。酸性条件化と塩基性条件化で脱離する側が違うのが特徴である反応です。KH を用いた場合は、シラノール基と同じ側の OH 基が脱離します。そのため主生成物は cis に対応する Z 体です。㋒ は誤りです。


以上より、正解は 1 です。

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