国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R5年 問22解説

 問 題     

スズと鉛に関する次の記述の ㋐、㋑、㋒ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「スズと鉛は、お互いにそれほど固溶せず、その合金は特に ㋐ が生じる組成において、単体のスズ及び単体の鉛の融点よりも低い 180 ℃ 程度で完全に溶融する。この特性を利用して、スズと鉛の合金はその毒性が問題となるまで、はんだとして多用されていた。

また、スズと銅の合金である ㋑ は、融点が適度に低いため鋳造しやすく、古くから用いられている。

スズと鉛は共に両性金属であるが、鉛は表面に ㋒ を形成するため希硫酸にはほとんど溶けず、鉛蓄電池の負極として使用される。」

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

㋐ ですが
「共晶」です。正解は 1 or 2 です。

「包晶」は、2 成分液体の一方成分の結晶が共存している場合に、液体がこの結晶と反応して別の結晶をつくり、もとの 1 成分の結晶を包み込んだ状態の結晶 です。銅合金の Cu – Sn 系、Cu – Zn系 などで見られます。


㋑ ですが

「スズと銅の合金」は「青銅」です。

ちなみに「真鍮 (しんちゅう)」は、銅と亜鉛の合金です。別名「黄銅」や「ブラス」と呼ばれています。


㋒ ですが

「~を形成」と来ると「不動態」を連想しがちです。不動態は酸化被膜なのですが、鉛が硫酸に溶けない理由は不動態形成ではなく、硫酸鉛 (Ⅱ) を表面に形成するためです。


以上より、正解は 1 です。

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