国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R5年 問104解説

 問 題     

生物の個体群に関する記述 ㋐、㋑、㋒ のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。


㋐ 個体群サイズが大きい場合は、人口学的確率性よりも環境確率性の方が個体群の存続性に大きな影響を及ぼす。

㋑ 様々な個体群パラメータを用いて、個体群が将来存続する確率を計算する分析方法を弾性度分析という。

㋒ 個体密度が低い場合、密度の増加に伴って個体群中の個体の生存率や繁殖率が増加することをエッジ効果という。


1.㋐
2.㋐、㋑
3.㋐、㋒
4.㋑、㋒
5.㋒

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

㋐ は妥当です。
人口学的確率とは、産子数や性比の偶然の変動のことです。個体群サイズが例えば 2 のように極端に小さいと、「2 連続で 雄」といった偶然がとても大きな影響を与えます。しかし、個体群サイズが十分大きければ産子数や性比の偶然は大きな影響を与えません。


㋑ ですが

「個体群存続性分析」についての記述です。「弾性度分析」ではありません。㋑ は誤りです。


㋒ ですが

エッジ効果は、生物の生息地の境界部分が外部からの影響を強く受けることです。㋒ は誤りです。

ちなみに
個体群密度の変動に伴って増殖率が変化することを密度効果といいます。密度の増加とともに「単純に増殖率が低下するタイプ」は「ドロソフィラ型密度効果」といいます。最初は密度の増加に伴って増殖率も増加し、ある密度を超過すると次第に低下するタイプは「アリー型密度効果」といいます。


以上より、正解は 1 です。

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