国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R5年 問100解説

 問 題     

中立的な遺伝子座の置換速度に関する次の記述の ㋐ ~ ㋓ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「ある遺伝子座の世代当たりの突然変異率を μ とするとき、個体数 N の二倍体生物において、この遺伝子座に世代ごとに現れる新たな対立遺伝子の数は ㋐ である。

このとき、個体数が少ない集団では、遺伝的浮動の効果は ㋑ く、新たな対立遺伝子が出現する数は ㋒。これらのことから、この遺伝子座の置換速度は、個体数が多い集団と比べて ㋓ ということが予想できる。」

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

㋐ ですが
具体的に考えればわかりやすいと思います。 N = 100 で、突然変異率が 0.1 としましょう。(1/2N) × μ だとすると 1/2000 になります。少なすぎるとわかるのではないでしょうか。㋐ は「2Nμ」が妥当です。正解は 3 ~ 5 です。


㋑、㋒ ですが
遺伝的浮動とは、自然選択と無関係な変異が偶然広まることです。個体数が少なければ偶然広まる確率は強いと考えられます。しかし、個体数が少なければ 2Nμ の N が小さいために、新たな対立遺伝子が出現する数は少なくなります。㋑ は「強」、㋒ は「少ない」が妥当です。これにより、㋓ は「変わらない」とわかります。


以上より、正解は 4 です。

コメント