国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R4年 問90解説

 問 題     

真核生物のタンパク質合成に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ 成熟した mRNA や tRNA は、5’ 末端にキャップ構造、3’ 末端にポリ A 鎖をもち、これらの構造にはいずれも RNA の安定化や翻訳を補助する働きがある。

㋑ mRNA 前駆体は RNA ポリメラーゼによって合成され、イントロンの除去、エキソンどうしの結合等の過程を経て、成熟した mRNA となる。

㋒ 翻訳開始時に、リボソームはまず tRNA と結合し、そのコドンに応じたアミノ酸を付加することでポリペプチド鎖が伸長される。

㋓ ポリペプチド鎖中のシグナル配列は、タンパク質を輸送する場所を指定している。


1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋐、㋓
4.㋑、㋒
5.㋑、㋓

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

㋐ ですが
5’ 末端にキャップ構造、3’ 末端にポリ A 鎖を持つのは 成熟した mRNA です。tRNA にはありません。㋐ は誤りです。

㋑ は妥当です。
mRNA の成熟に関する記述です。

㋒ ですが
真核生物の翻訳開始時には、まずリボソームの大小サブユニットと、多数の開始因子 (実体はタンパク質) がまず結合します。その後、開始 tRNA と呼ばれる Met – tRNA が結合します。「リボソームはまず tRNA と結合」するわけではありません。㋒ は誤りです。

㋓ は妥当です。
シグナル配列と結合して移動先へ運ぶ粒子が SRP (signal recognition particle)です。

以上より、正解は 5 です。

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