国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R4年 問86解説

 問 題     

ヒトの骨代謝に関する記述のうち、最も妥当なのはどれか。

1.活性化した破骨細胞は、細胞表面に RANKL (receptor activator of NF‒lB ligand) を発現しており、骨芽細胞上の受容体 RANK を刺激することにより、骨細胞への分化を抑制する。

2.甲状腺傍濾胞細胞から分泌されるカルシトニンは、破骨細胞の活性を亢進させ骨吸収を促進する。

3.副甲状腺主細胞から分泌される副甲状腺ホルモンは、活性型ビタミン D 生成を促進して腸管からのカルシウムイオン吸収を促進する。

4.下垂体後葉細胞から分泌される成長ホルモンは、肝臓でのインスリン様成長因子 I (IGF‒I) 産生増大を介して骨の成長を促進する。

5.卵胞顆粒層細胞から分泌されるエストラジオールは、骨吸収サイトカインの産生増大を介して骨芽細胞のアポトーシスを促進する。

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

選択肢 1 ですが
破骨細胞表面に発現するのは「RANK」です。骨芽細胞上の受容体 は「RANKL」です。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
カルシトニンは骨からのカルシウム放出を抑制し、腎臓でのカルシウム再吸収を低下させます。つまり、骨吸収「抑制」方向への作用です。骨吸収「促進」ではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
副甲状腺ホルモン (パラソルモン:PTH) についての記述です。

選択肢 4 ですが
成長ホルモンは、下垂体「前葉」ホルモンです。後葉から分泌ではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
エストロゲンは、骨吸収抑制です。骨芽細胞アポトーシス促進ではありません。エストロゲンによるアポトーシスが促進されるのは「破骨細胞」です。選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 3 です。

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