問 題
胚発生過程の細胞分化における遺伝子発現調節機構に関する次の記述の ㋐ ~ ㋓ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。
「一般に、タンパク質をコードする領域の外にはプロモーターやエンハンサーと呼ばれる制御配列が存在する。転写が活性化される際には、プロモーター領域を開放するためヒストン H3 の 4 番目のリシン残基が ㋐ 化され、プロモーター領域に存在する CpG 配列が ㋑ 化されなくなることによって、基本転写因子に RNA ポリメラーゼⅡが結合して安定的な転写が促進される。
一方、エンハンサーには特定の転写因子が結合することでクロマチン構造を湾曲させ ㋒ を
構成し、プロモーターとエンハンサーの距離を接近させ転写を更に活性化させる。一般に、エンハンサーは ㋓ の位置にあるプロモーターにのみ働き、かつ、転写因子の組合せによってそれぞれの細胞で異なる遺伝子発現を可能にする。
哺乳類は、このようなメカニズムで限られた数の遺伝子を巧みに利用しており、胚発生過程では神経細胞や筋細胞、骨細胞のような形態・機能・性質の異なる細胞が出現する。」
解 説
㋐ ですが
H3K4 メチル化です。㋐ は「メチル」が妥当です。
㋑ ですが
H3K4 メチル化に伴い、CpG 配列がメチル化されなくなります。㋑ は「メチル」が妥当です。
㋒ ですが
インスレーターは、隣接する遺伝子の間に存在する境界配列です。エンハンサーからの不適切な活性化シグナルはインスレーターの作用によりブロックされます。
「プロモーターとエンハンサーの距離を接近させ、転写を更に活性化させる」のは「メディエーター」です。㋒ は「メディエーター」です。
㋓ ですが
一般にエンハンサーは、プロモーターと同じ DNA 分子の側に作用します。つまり「シス」の位置にあるプロモーターにのみ働きます。㋓ は「シス」です。
以上より、正解は 5 です。
コメント