国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R4年 問69解説

 問 題     

有機リン系農薬に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ 現在我が国で使用されている代表的な有機リン系農薬には、フェニトロチオン、マラチオン、パラチオンなどがある。

㋑ 有機リン系農薬はアセチルコリンエステラーゼをリン酸化することで、非可逆的に酵素活性を失活させる。

㋒ 有機リン系農薬の殺虫効力には、オキソン体の生成による代謝活性化が寄与している。

㋓ 有機リン系農薬による暴露で、一般に、呼吸困難、意識障害、散瞳などの副交感神経遮断に伴う症状が現れ、2 ‒ PAM が解毒剤として用いられる。


1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

㋐ ですが
フェニトロチオン、マラチオン、パラチオンは有機リン系農薬です。この中で「パラチオン」は急性毒性のため使用中止になっています。「現在我が国で使用されている」わけではありません。㋐ は誤りです。

㋑ は妥当です。
有機リン系農薬の作用機序についての記述です。

㋒ は妥当です。
P = S が P = O 基に変わったものが「オキソン体」です。

㋓ ですが
アセチルコリンエステラーゼを失活させることで「アセチルコリンを分解する酵素」が失活するので、アセチルコリン過剰になります。副交感神経過剰興奮に伴う症状です。副交感神経「遮断」ではありません。㋓ は誤りです。


以上より、正解は 3 です。

類題 H27no69 我が国における農薬の発達史
https://yaku-tik.com/yakugaku/km-27-69/

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