国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R4年 問60解説

 問 題     

コロイドに関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ コロイドは、10-9 m 以下の大きさの粒子が、他の物質中に均一に分散したものである。コロイド粒子は半透膜を通過せず、光を当てると光の乱反射によるブラウン運動という現象を示す。

㋑ マヨネーズやバターは、分散媒と分散質が共に液体であるエマルションに分類される。マヨネーズは O/W 型エマルション、バターは W/O 型エマルションである。

㋒ エマルションを安定化させるため乳化剤が用いられる。乳化剤は、親水性の物質と親油性の物質の混合物である。

㋓ 水や食用油では、ひずみ速度を変化させても粘度は変化せず一定であるが、デンプンの高濃度溶液では、ひずみ速度の増加とともに粘度が増加する。前者をニュートン流体、後者をダイラタント流体と呼ぶ。

1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋐、㋓
4.㋑、㋒
5.㋑、㋓

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

㋐ ですが
コロイドは、1 ~ 100 nm 程度の大きさの粒子が均一に分散したものです。10-9 m とは 1 nm です。「コロイドは、1 nm 以下の大きさの粒子が…」ではありません。

また、光を当てると光の散乱による「チンダル現象」を示します。ブラウン運動は、コロイド粒子を顕微鏡で見ると観察できる「溶媒粒子の衝突による、粒子の不規則な運動」のことです。㋐ は誤りです。


㋑ は妥当です。
エマルションについての記述です。


㋒ ですが
乳化剤は水になじみやすい「親水基」と、油になじみやすい「親油基」の両方を持つ物質です。「親水性の物質と親油性の物質の混合物」ではありません。㋒ は誤りです。


㋓ は妥当です。
ニュートン流体とダイラタント流体についての記述です。


以上より、正解は 5 です。

コメント