国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R4年 問57解説

 問 題     

乱用が問題となる薬物に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ 我が国では、麻薬や覚醒剤などと類似の薬理作用をもつ危険ドラッグの規制のため、基本骨格が同じ物質を一括して指定する包括指定が行われており、カチノン系化合物などが該当する。

㋑ モルヒネの主要な代謝物は鎮痛活性を示さないモルヒネ3‒サルフェート(硫酸抱合体)である。

㋒ シロシビンは、いわゆるマジックマッシュルームに含有されるアルカロイドであり、幻覚・錯乱などを起こす。

㋓ 大麻草に含まれる成分のうち、精神作用を引き起こす主成分はリゼルギン酸ジエチルアミドである。


1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

㋐ は妥当です。
カチノン群は、2 – アミノ – 1 – フェニル ー プロパン – 1 – オン (通称カチノン) を基本骨格とする物質群です。他には合成カンナビノイド類が包括指定されています。

㋑ ですが
モルヒネの主要な代謝物は、モルヒネ – 3 – 「グルクロニド」(M3G) です。グルクロン酸抱合体です。また、10% 程度は強力な鎮痛作用を有する モルヒネ – 6 – グルクロニド (M6G) に代謝されます。「サルフェート:硫酸抱合体」ではありません。㋑ は誤りです。

㋒ は妥当です。
ワライタケの毒性成分でもあるシロシビンについての記述です。

㋓ ですが
リゼルギン酸ジエチルアミド (LSD) は、半合成の幻覚剤です。大麻草の成分はテトラヒドロカンナビノール (THC) やカンナビジオール (CBD) です。㋓ は誤りです。


以上より、正解は 2 です。

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